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苦悩の集

反省文

作者: 時雨 小夜

生きてきた。

でもそれは、

ただ生きてきただけだった。

私は、これから私でない、他の何かに成れるでしょうか。

もう何もございません。

今さっきまでこの掌の中にあった物は、

指の間からするりと落ちて行きました。


それを見て、笑う彼女と哀れむ私。

此処に希望はありません。


ただ有り続けるのは、

「社交的な性格」

というものが欠落した私と、

その包容力故に、世界から捨てられた彼女。


「何時でも、光を見つけられる人間になってほしい」

そう思って私に名前を付けてくれた親の期待も、

「すこやかに生きてほしい」

という、今は亡き大切な人からの遺言とも言える様な、最後の言葉でさえも。


私は踏み躙ってしまいました。


口を開いても、出て来るのは

「ごめんなさい」の一言だけ。


理想を掲げれば今の己と比べ、落ち込んで仕舞いです。

夢を見れば人に馬鹿にされ、踏み躙られて消えて行きます。

ならば、私は六畳一間の片隅で、死んだ様に生きたいのです。

それが世のため人のため。

「ごめんなさい」しか言えない口なら、開けぬ方が楽でしょう。


果たして私は人でしょうか。

気づけば、さっきまで「ごめんなさい」しか言えなかったあの口は、泣き叫ぶ為に泣いている。


果たして私は人でしょうか。

全てが失くなった世界で、今彼女と手を繋いでしまっている。


火は燃え尽きて、消えて行く。

ただ人として、生きられず。


そんな私の、


終わりからの逃亡。

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