小林先輩は窓口には不向きです。
前々回もお休みしたのですが、今回も風邪が酷く無理そうなのでお休みいただきます、、、ごめんなさいm(_ _)m
生徒会室のすぐ上の階、そこの小さな部屋に風紀委員会がある。
「失礼しまーす」
「どうぞー」
ドアをノックして入ると窓口のような状態になっている。真ん中に横長の机があり向かい合わせで椅子が置いてある。
そして仕切り、これは風紀委員会の仕事部屋と仕切るためのものだ。
そして、机の奥側に座っているのは、
「あれ?今日の当番小林先輩だったんですか?」
「そうなんですよ、いらっしゃいー」
本日もイケメンですね小林先輩!という言葉を飲みこまざるを得ない小林先輩でした。
役員と常日頃一緒にいると大分感覚が狂わざるを得ないんだけど、それでもイケメンと判断出来る程爽やかな雰囲気がいいですね!羨ましい!!
「池に落ちちゃったんですよね、大丈夫ですか?」
「え、よく知って………ってユリア様達からですか?」
「ええ、被害届お預かりしますよ」
「ありがとうございます」
書類の記載事項について1つずつ確認した後、大丈夫ですよ、と笑って返してくれた。これで仕事完了だ。
「いつもこの時間に座ってるんですか?」
「いえ、いつもは座ると何故か女子生徒達が殺到して、それじゃあ意味が無いので事務仕事ばかりやってるですよ」
「あー、何となく察しました」
まぁこれだけ顔立ち整ってたら、女子生徒達が話したさだけで来るのは納得できる。
生徒会役員には基本事務仕事しか回って来ず、困り事は全て風紀委員に行ってしまう分もあるのかもなぁ。
「じゃあ今回は?」
「今回は特別です!生徒会にも関わってきますし自分が直接知っておいた方が話が早いですから」
また事務室戻らないとなんですよね、としょんぼりしている小林先輩に笑いながら頑張って下さい、ありがとうございました、とだけ言って廊下に出た。
「久々の窓口お疲れ様でした」
「あぁ、ありがとう。今回は生徒会も関わってくるからね」
「とか言ってファンとしてやりたかっただけですよね」
隣の事務室に入るなり早々痛いことを言われた。まあ、下心が無かったとは言わないけどね。
今ここには自分とその子しかいないし、話してる委員の子は自分が桃華様のファンクラブだけでなく優美様のファンクラブであることも知っている。ただ、この子以外の子には一切話してない。割と『篠宮優美ファンクラブ』は非公認なところが多い。人数も他の生徒会役員のファンクラブに比べると随分と人数が少ないのだ。
なのに公認されているかというと、桃華様が会長を務めていることとメンバーが生徒会役員全員、生徒会ファンクラブ会長全員が所属していることが多い。要は権限様々である。
ファンクラブには、伝統として自分の推している人と所属するファンクラブの会長のことは様付けして呼ぶというのがある。
最初桃華様のファンクラブに入った当時は慣れなかったけど、今ではそれが普通になっている。ファンクラブ会長になったのも驚きだったが、今はそれを誇りに思っている。時間が経つにつれてファンクラブとして馴染んできているのが嬉しい。
このまま何事もなくあと半年過ごせればいいなぁ。出来たらもう1回、窓口に立ってみたいなと思うのはわがままかなって思ったけれど、せっかくあと半年で卒業してしまうのだから欲張るのもありかもしれないな、なんて。
そんなことを思いながら事務仕事に戻ったのだった。
「ユリア様!」
恐らくいるであろう池にほど近い3号館1階の廊下に行ってみると、案の定ユリア様がいた。隣には菊乃先輩もいらっしゃる。
「あら、優美さん、お仕事はよろしいの?」
「あ、はい!職員室に今持ってる書類を持って行ったら以上です!あの…………そちらの方は………?」
自分が覗いたとき、2人とも険しい顔してらっしゃったけど何でだろ。
自分が何かを察しているのを分かったのだろう。
先程見せたいつもの柔らかい表情から一気に眉をひそめて言った。
「それがね、本来であれば池で落とされたはずならいるはずのものがないのよ」
「いるはずのもの?」
「あぁ、こんなにも見晴らしがいいのに………目撃者がいないんだよ」
「えっ………」




