私には身に覚えがありません。
次回少し遅れます。午前3時までには投稿しますね!(少しどころの話ではない)
「ノート、何のでもいいから見せてもらってもいい?」
「あ、うん」
桃華に言われ手元を見てみたが、この部屋には弁当以外何も持ってきていなかった。なので慌てて生徒会室にある手帳を急いで取ってきた。この手帳は生徒会で決めた事項を睡蓮君と交代で書いているもので、教室に戻るよりは手っ取り早いと判断したのだ。
「私が書いたのは、こことかここかな」
「あ、そこのページのままで!」
ページをめくりつつ自分が書いた場所を皆に見せていくと、途中で桃華がページを止めた。
そして、例の手紙の文字と比べると…
「本当だ、そっくり…」
「…篠宮さんの字と瓜二つだね」
「そんな…」
言葉を続けることが出来なかった。
「そんな、優美ちゃんがそんなことするわけが…」
「ねえ、篠宮さん。これ、どういうこと?」
睡蓮君に尋ねられたが、私は目線を逸らすことしか出来なかった。
「言いたくないなら言わなくてもいいよ。でも一つだけ聞かせて」
桃華に強く言われ、私はゆるゆると焦点を桃華に合わせた。
「演劇部を荒らしたのは優美ちゃんなの?」
桃華の表情は今までで見た中で一番真剣で、だからこそ胸が苦しくなった。
「私じゃ…ない」
小さくそう呟いて、やはり彼女の視線に耐えきれなくなって目線を下に戻した。
「そっか」
桃華はそう言って立ち上がった。椅子が動く音にびっくりして顔を上げると、他の3人の悲しそうな表情が見えた。
「私と優美ちゃんだけで話してもいい?」
そう言う桃華の口調には問いかけではなく強い決意が私にも見えた。
「時間がかかると思うから続きは放課後にするね」
そして、そのまま私の手を引いて生徒会室の隣にある準備室に入った。
入る際に生徒会室にいた怜様達にきょとんとした顔をされたが、
「本鈴がなってもこちらは気にしないでください」
とだけ言いスタスタと中に入ってしまった。
「優美ちゃん、ここでなら話せる?」
お互いが椅子に座ったのを見て、桃華はおもむろに切り出した。
「うん…でもそもそも演劇部を荒らしたのにも手紙についても身に覚えがないの。演劇部に行くには職員室にあるはずの鍵が必要だし、手紙も下駄箱に入ってたのを朝確認した。正直信じてもらえるかは分からないけど…」
「うん、私は優美ちゃんのこと信じてる」
「ほんと!?」
まあね、と胸を張る姿はいつもの桃華で正直ほっとした。
同時に予鈴が鳴ったので教室に戻ろうとしたが、制服の裾をつままれ、また椅子に座り直した。
「優美ちゃんのことは信じてるけど、ただ気になることがあるんだ」
「気になること?」
「うん、犯人じゃないかって疑われたとき、全然取り乱してなかったから。普通身に覚えのないことを疑われたら必死で否定するでしょ?なのに言葉に詰まったりするだけでパニックになったりヒステリックになったりしなかったのは…このことを予期してたの?」
そう聞かれてうっと言葉に詰まる。
うーん、まあ桃華には話しても大丈夫かあ。
「まあ、手紙見たら自分の筆跡に似てたのはすぐに分かったから。でも似たような字書く人もいるんだなあと思っただけでその場はなんとも思わなかったんだよね。でも行ったら演劇部が荒れてて、もしかしたらこんなことになるんじゃないかなあとは思ってた。傍目から見たらそう見えるだろうし、皆がそう思うのも無理ないかなって。割と恨みは買いやすいしね」
てかもう既に各方面のファンの方々から恨みは買ってると思うし。
「そっか。まあ見たら自分の字くらい分かるよね」
「流石にねー、だから何か言ってもかえって逆効果かなと思って沈黙してた。3人の悲しそうな表情見てるのも辛かったし」
それが自分が原因と思うと尚更直視が出来なかったんだよ。メンタルはいつまでたっても弱々しいままなんだよな、しくしく。
「うーん、それにしても犯人誰なんだろう」
「だよねー。そういえば鈴乃ちゃんが部室の鍵管理してるって言ってたけど…」
「ああ、うん。演劇部部室前のごみ箱の下にいつも置いてるって鈴乃ちゃん言ってたよ」
「えっ、職員室管理じゃないの!?」
てっきり職員室で鍵管理してるもんだと思ってたよ…
「日曜日だと職員室が開いてないから合鍵はそこに置いてるんだって。私達も合鍵あるでしょ?」
「確かに…」
生徒会室は機密事項も多いし緊急なことが起きてもすぐ対応できるように各学年で一つずつ合鍵を管理している。
「ほんと、桃華って私よりこの学校のこと知ってるよね」
「まあ人から聞いたものもあるし、元々のゲームの知識もあるよ。交友関係が広いのは良いことだし。そもそも乙女ゲームの『ヒロイン』って好かれやすいところがあるから活用しなきゃね!」
「見た目だけ見ると話しかけたくなるオーラあるもんね、見た目だけなら…」
「それに元から可愛い女の子は血がたぎるというかプロデュースしたくなるというか、ね!」
職業病の方に行くあたり流石桃華な気がしてならなかった…




