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会計先輩は〇〇でした。

 翌日、朝学校に着く前から視線が。教室着いても視線が。そう言えば私が生徒会入る旨のメールが来てたな。………当たり前といえば当たり前か。けれど、誰もが躊躇っている様子でじっと見るだけ。正直、もどかしい。

 そこで助け船を出したのは我が親友。いつも通り軽く挨拶したあと、昨日のテレビを話すくらい気安く話す。

「優美って生徒会入ったの?」

「うん、なんか断るに断れなくて引き受けちゃった」

「そっか、まあ優美が決めたことだしいいけどね」

「ありがとね」

 遠くから、近くから驚きの声や口をぽかんと開けた顔が見える。ある意味凄いね。正直見てて面白い。

 そして、それ以降はまるでリンチのように取り囲まれ、言わずもがな事情聴取されました。




 本日は会計の先輩と一緒に先生達に始業式での資料確認に向かっている。

 会計の柘植つげ先輩は所謂インテリさんだ。言い方を変えればお堅い感じ。ただ怜様とは違って威厳により話しかけるのが憚られるというよりも、話しかけても無駄口は嫌いと言いそうな方だ。

 なので、無駄話は一切許さないオーラが出てて、話しかけるのは無理そう。まあでもこれは苦痛ではないし別段大丈夫だ。

 それよりも、ずっと柘植先輩が話しかけようとして、止めてを繰り返しているのに関して私はどう反応したら良いのか。

 気まずそうに私を見てはすぐに逸らして。告白などという乙女チックなものでないのは確かだ。顔が赤くないし、第一先輩が私に告白するなどありえない。

 なら私の顔に何か付いてるのでは、とテンプレを考えるしかない。あとでトイレの前に行ったとき、トイレで確認しよう。

 そう思ってた帰り道、ふと突然先輩が止まって

「なあ、お前って転生者なのか?」

「そうですよ……って、え、なんで、え」

 心の中パニック状態だよ!動揺で持ってた資料落としちゃったよ!

「いや、そんな驚くと思ってなかった、すまない」

 と資料を集めながら先輩が謝ってくださったので、いえ、気にしないでください、と返して資料を受け取る。

「それにしても、どうしてそれを……というか、先輩もだったり?」

「あぁ、神と名乗る変なやつに六人目の転生者と言われた」

「私は十一人目です」

「やはりか、モブやヒロインという言葉を使っていたから恐らくと思って」

 生徒会に入るのを必死で止めるために口走ってしまったあれか。まさか転生者がいるとは全く考えていなかったから、気にしていなかったが。

「まさか他にも転生者がいるとは考えていなかった」

「私もです。でも、なんか仲間を見つけた気分です」

 と苦笑しながら言うと

「同感だな」

 と同じように苦笑しながら先輩が答えた。




 折角なので、転生前について訊いてみると、先輩は前世では相当なゲーマーだったらしい。

 あまり人とは話などをせず、勉強してゲームして生活に必要な最低限だけして、の繰り返し。口調も今とそう変わりはなかったそう。

 そして大人になっても普通の会社で働いては休日にゲームをして、の繰り返し。親に結婚を急かされたが生涯独身を貫き、最後はガンにかかりそのまま死んでしまったそうだ。

「ゲーマーだったとは、驚きです」

「今はさっぱりだがな。というより、今はもうやりきった達成感しかないな」

「どれだけやったんですか」

「そうだな………軽く40はやったかな」

「え………」

「一年で一、二本くらいやってたから。基本オールクリアしてから次にいってたらそんなもんになったよ」

 比較的色んな種類に手を出したしな、という言葉に絶句で返すしかない。

 自分は学生時代は図書館の本を読み漁るのが常で、結婚も早く仕事もしていたので、大人になってからは家事中心、暇なときはやはり本、という感じであったため、ゲームをした経験がほとんどない。友達の家で数回したことがあるくらいだ。常に負け続けたのでやる気も起こらず、今でも然り、だ。

 逆に先輩に自分の前世を話すと

「なんか、ぽいな」

 と返された。

 え、ぽいって、私見た目そのまま?

 嬉しいような悲しいような、である。

「それは褒めてるんですか?」

「褒めてる、というより思ったままだ。まあ別に裏表がないのはいいことだと思うが?」

 フォローになってない正論に近いことを言われ、複雑な気分になる。

 それでも、話しやすく気楽にやれそうなため、この人とは上手くやれそうな気がする。元々感じていたお堅い雰囲気はもう無くなっていた。

「なんか、先輩とは上手くやれそうな気がします」

「そうか。俺もお前とは良い関係が築けそうだ」

 そして私達は頷き、握手をした。

 ………帰って来るのが遅くて、副会長と言う名の魔王様からブリザードを受けたのはこの際伏せておこう。

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