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睡蓮君はとてもポジティブです。

「と、まあそんなわけで俺はこの学校に入ったってわけ。それで、今まで自分の視野って狭かったんだなあって気づいて、生徒会に入ったら学校全体のこと分かると思ったから自分から生徒会に志願したんだ」

「そうだったんですね」


 自分から生徒会に志願するなんて自分や金鳳君とは真逆だなあと思う。

 というか、高校生でこんなにも自立してる子ってなかなかいないんじゃなかろうか。


 副会長は魔王様だからともかくとして、前世の記憶がある分精神的には大分長く生きてる桃華や柘植先輩も前世に囚われた部分がある。

 のに、睡蓮君は辛い過去をひたすら次につなげている気がする。


 なんというか、端的に言えば、

「凄いポジティブっていうか……」


「ポジティブに見える?」

「え、はい…っていうか、声出てました!?」

「凄いポジティブっていうところだけね」


 え!やだ!なんかこの言い方だと凄い失礼じゃない!?


「いや、あの、前向きって意味で言いたくて!その!」

「ふふっ!全然いいよ別に、俺もそう思うもん。言った人皆同じ反応だったし。翔汰なんかあいつ『遥斗、お前今のうちから人間できすぎー!今何歳?俺やっぱ生徒会に必要ないんじゃない??』とか言ってきたくらい」

「さりげなく生徒会辞めようとしてる」


 流石金鳳君、やっぱり元『生徒会辞めたい同盟』の一員である。


「そ、だから『ふざけんじゃねえぞ?』ってふざけ半分で言ったらめちゃくちゃびっくりされて。なんか今でも俺のこと怖がってる節あるんだよなー」

「その時もしかして笑顔で……?」

「ふざけてるんだから当たり前だよ」


 なんで?という顔をする睡蓮君にいやいや!とツッコミたくなる。

 今の『ふざけんじゃねえぞ?』もなかなか凄みがあったのに、それ笑顔で言われたら大分大変だわ…多分後ろに禍々しいもの感じるわ………


「それは怖いと思いますよ、今私でも怖かったので」

「まあそれ以来翔汰生徒会辞めたいなんて言わなくなったから結果オーライってことで?流石に選挙前全然来なくなった時は焦ったけど篠宮さんが引き留めてくれたみたいだし」

「ええ、まあ」


 そういえば、引き留めてた時怒るの副会長だけじゃない的なことを言って怖がってたけど十中八九睡蓮君のことだろうな。

 はっきり言うとトラウマレベルだもん、これ。


「だからさ、篠宮さんも生徒会辞めないでよ?辞めるって言われたら俺割と傷ついちゃって何するか分からないから」

「大丈夫です、辞めません。それに生徒会の皆様は素晴らしい方達ばかりですから。勿論睡蓮君も含めて、です」

 安心してください!と強く言うと、睡蓮君はキョトンとした顔をした後、にっこりと爽やかな笑顔になった。


「それは頼もしいな」

「はい、仕事はまだまだですけど、そこは頼って頂いて構いませんよ!」




「そういえばずっと気になってたんだけど、なんで敬語なの?」


「いや、私がタメ口で話すなんておこがましいというか、申し訳ないというか…」

「そんな律儀になんなくても、俺別に先輩とか雲の上の存在とかそういう訳じゃないからタメ口でいいのに」


 いや、十分キラキラ輝くお星さま(スター)ですよ、とまあ声に出して言えるわけもなく。苦笑いでその場をごまかそうかと思ったのだが。


「距離感じるからなあ…じゃあ名前で呼ぶのとタメ口、どっちがいい?」

「へっ!?」


「だって生徒会役員は皆お互い名前で呼んでるよ?まあ副会長は仕事モードの時は副会長で呼ぶことが多いけど」

 せめてどっちかかな、と困り顔、キラキラエフェクト付きで言われ、思わず名前呼びとタメ口以外の選択肢を消してしまった。


 じゃあ、名前呼びとタメ口で比べたら、

「…タメ口で…い、い?」

 するとぱあっと顔を輝かせて、じゃあそれでよろしくねと言った後、時間もなかなかに過ぎてたので睡蓮君は部屋に戻ってしまった。




 こうして私の波乱の合宿一日目が終了したのである。


申し訳ありませんが、来週の投稿お休みします。

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