副会長は案の定腹黒でした。
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「一体どういうことなんですか!?」
準備室から出てきて副会長の方へどすどすと歩いていった私は何のこと?と言う副会長に必死で言った。
「私が生徒会に入るって………全く理由が思いつきません!」
「あぁ、そのことかー。でももう決めちゃったんだよねー」
「なんで………っ、理由を説明してください!」
「理由は三つ。一つ目は怜に対して堂々と自分の意見言えたこと。二つ目は生徒会に媚びを売ったり色目を使ったりしなかったこと。三つ目は生徒会役員全員の信任を得たこと」
まあ、怜のハンカチ事情を知ってるっていうのもあるけど。
と言う副会長の顔を私はぽかんと見るしかなかった。
正直生徒会に入るのはヒロインだけとばかり思っていたし、自分は生粋のモブ人間だ。生徒会からの認識が、対抗意識を持たれる、もしくは逆に利用できる生徒のどちらかに寄ることはあっても、このようなこと想像できるのは自惚れのバカ人間しかいないだろう。
………っとそんなことを考えている場合じゃない。反論しとかないと、私なんかが入ったら今日まで以上のキツい視線を浴びてしう!
「でも、今の条件に関して他にも当てはまる人なんていくらでもいるし、私なんかが生徒会に入らなくたって………」
「私なんかじゃないでしょー?調べてみたけど他のやつらより見劣りするとこなんか無かったよ?」
と言うのは庶務の金鳳君。子供っぽく甘えてくるのがかわいいと以前同じクラスのファンの子が言っていた。
っと、そんなことより!
「調べたって………」
「生徒会は生徒の個人情報を把握してるからねー、調べることなんか簡単だよ。えっと確かー、成績は常に五位以内、書道は三段、美術は五回程賞を受賞している。中学の時は生徒会副会長をしていたりとか、色々やってるねーこれ本当でしょ?」
「えぇまあ………」
勉強は、前世で志望していた大学に入れなくて悔しかった思い出があったため、今世こそはとしっかり予習復習宿題をするようにしている。
書道と美術も前世で字や絵の汚さに散々悩まされたため、今世は!と思って頑張った。それなりに才能はあったようで、賞も何度か受賞した。もう今は勉強が大変なので続けていないけど。
「これだけあったら十分じゃない?」
「で、でも!私みたいなモブが生徒会に入るなんて間違ってる!ここはヒロインのための………」
あ、しまった。思ったことがそのまま声に出てしまった。メンバー達が不思議そうな顔で見ている。やばい。と、ここでようやく予鈴が鳴った。最近のチャイムは私の味方のようだ。
「じゃあ、失礼します!」
と弁当箱を持って生徒会を飛び出した。また弁当食べそこねたよー。
あのあと、やはり色んな人に見られて教室に戻ってきた。教室でも前と同じ流れで、生徒会に入ったらまた同じことになるんだろうな、と思った。
ちなみに、どうだった?と訊かれたため、言いたいことは言ってきたと言うと、なぜか尊敬されたり拝まれたりした。………私は仏じゃないのだが。
真純は相変わらずお疲れ様と慰めてくれた。弁当を一緒に食べられなかったことを謝ると、構わないと言ってくれた。やはり、持つべきは友だよね!
「でも、他にもなんかあった?」
「………なんで?」
「弁当食べられなかった割に帰ってくるの遅かったから。まあ、無理はしないでよ」
ありがとう、と苦笑して私はいつも通り過ごした。
そして、いつも通り真純と帰るつもりだったのに、終礼後副会長に拉致られた。周りからの視線がキツい。副会長に手を引かれているから尚更だ。
………視線に晒されるのに少し慣れてきたと感じたのは、きっと混乱からの勘違いだろう。
「えっと、今どこに向かってるんですか?」
「ん?そりゃあ役員なんだから生徒会に出ないと」
「だから、私は入る気なんて………」
「なくても入ってもらうよ」
「嫌ですよ!入ったって碌なことになりませんし!」
人気がなくなったため、腕を振り払って副会長を睨みつける。
副会長はため息をつき、急に近くの空き部屋に私を引っ張りこんだ。しかも、鍵まで閉められて、私は扉と反対側の壁まで押しやられる。
「分からないの?せっかく生徒会に入れるチャンスを逃すなんて相当損だよ?」
「そんなの、知ったことじゃないです。何より生徒会に入ってから受けるダメージの方が高いでしょうし」
嫌がらせとか嫌がらせとか嫌がらせとか!
「君、怜のファンなんでしょ?近くでいられるなんてそうそうないよ?」
「私は遠くから愛でる主義なんです。近くだと自分に嫌気が差してくるので」
ああいうのは遠くから見るに限る。近くじゃ私のスペックじゃ太刀打ち不可だ。
「………分かった」
理解してくれたようだと安堵していると、いきなり顔の隣に副会長の腕が。…………これが所謂壁ドンですか?しかも顔が近い!
「生徒会をフッたって入ったって受ける圧力なんてどうせ同じだろうけど?どうせだから君が入るって言うまで追い回してみようか。賢い君ならどちらが自分のためになるか分かるだろう?」
腹黒っ!怖いよ!脅しだよね、完全に。
追い回すって普通じゃない感じだよね、想像するだけで背筋が凍る。
どうする?と色気たっぷりに耳元で囁かれて、モブな私は頷き、降参するしかなかった。