修学旅行のお土産は○○です。
修学旅行編のエピローグ的な、後付けてきなやつです。
時系列的にこちらにお引越しです。
「ご無沙汰でしたあ」
「なんか久しぶりな感じあるなあ」
「そうか?俺はそんなことないけど」
「…金鳳君はサボってた前科があるからでしょ」
二年生でそろって生徒会室に入ると、先に業務をしていた先輩方が顔を挙げておかえりと出迎えてくれた。
「修学旅行関係で集会があったので遅れてちゃって。仕事結構あります?」
「いや、今日は皆帰ってきたばかりでちゃんと来れるか分からないだろうからって仕事減らしてもらってるから大丈夫。それよりその袋は?」
いつもなら荷物を棚の上や自分の机の周りに置くのに、睡蓮君の机の上には大きな一個の袋。そこにはでかでかと“I love 沖縄”。お察しの通り
「もちろん先輩方にお土産です」
中身は紅芋タルトとちんすこう。お土産のお茶菓子として定番中の定番だ。それと、
「ん?これなに」
「先輩方それぞれへのお土産です」
修学旅行6日目。
この日の午前中に真純達には失礼して、国際通りで生徒会2年生メンバーでお土産を買うことになっていた。紅芋タルトとちんすこうは早々に決定し、けどこのお土産は多分生徒会の茶菓子となるので、他に個別のお土産も買うことにしたのだ。
取り敢えず色んなお店を見て回ってみた結果、実は開始して1時間も経たないうちに決定してしまった。いや、別にテキトーに選んだ訳じゃなくて!満場一致でこれっていうものが出そろったのだ。
というわけで三人の先輩に渡し、先輩方が開けるのを待ってみる。
柘植先輩へのプレゼントは、ゲームのし過ぎで絶対目が悪くなってると思うので、国際通りの、桃華にと顔を赤らめている人達に「何か目にいいものってありますかー?」と聞いて教えてもらった結果、
「もずく?」
「もずくのヌメヌメ成分のフコダインっていう成分が目に良いらしいんですよ。ということでもずくパックです。なかなかないですよね?」
「修学旅行のお土産でもずくはな。もう手遅れ、かもしれないけどな」
「柘植先輩まだ、まだ希望はあるはずですよ!!!」
うん、眼鏡は恐らく一生手放せないだろうけど。柘植先輩は眼鏡萌えの方々のオアシスですから、失明だけしないように…もずく大事。
副会長には、魔王様モードを少しでも減らしてもらうため、国際通りの、イケメン2人ににキャーキャー言ってる人達に「なんかストレス解消系のグッズってありますかー?」と聞いて教えてもらった結果、
「アロマキャンドル?」
「ストレス解消に効くらしいですよ。家で使って癒されてください」
「私は皆さんが仕事放棄をしないでくれればそれで……」
「あーー聞こえないーーー」
あちゃあ、それはまずいよ金鳳君、あ、副会長が全く温もりの無い笑顔になってる。…うん放置しよ、怜様の方見てたらぎりっぎり目線を外せるからね。…癒し大事。
そして会長には、お察しの方もいらっしゃるかと思いますが、
「これは…」
「ハンカチですよー、しかも万が一持ってきても大丈夫なように、端っこに可愛いマークついてるやつにしました!これで万が一持ってきても大丈夫ですね」
「遥斗お前ふざけてるだろ」
「そんなことないですよー、これ先輩方のお土産の中で一番に決まったんですよー」
左で睡蓮君があははって笑い、右では怜様がため息を吐いている。
あちこちでそれぞれやり取りする様子を見てふふふって笑ってしまう。こうやってあちこちでやり取りしているこの混沌とした感じが居心地のいいものに感じられるくらいには私もここに馴染めたのかもしれない。
時間はあんまりないけどお茶淹れようかな、あ、紅芋タルトとちんすこうも食べれるようお盆に出しておこうかな。
私はくすくす笑いながらお湯を沸かすため席を立った。




