修学旅行での写真の撮りすぎには注意しましょう。
修学旅行の閑話です。修学旅行にて一切出てこなかった生徒会2年男子組を登場させてます。
前回と題名以外はほぼほぼ変わってないはずです(少なくとも内容は一緒)
修学旅行3日目、今日は学年全体で浜辺を貸し切って自由行動だ。
真純は、シュノーケリングに行くと言って早くに機材を置いている建物に向かって行ったし、志穂はこゆりちゃんと海中散歩に行くと言っていた。
そして私は、桃華とボートに乗って近くの小島を巡るプランを選んでて、今はボート待ちだ。
ああ、海きれー。
昨日泳いだからわざわざ泳ぐ気にはなんないけどなぁ。
それに私が泳ぎ出すと桃華が「10枚、いや20枚だけ写真を!!」って言い出すだろうしなぁ。写真は断固お断りの旨ご了解いただければ幸甚でございます、だ。
「あと10分くらいで来るかなあ」
「多分時間的にはそうだと思うよ」
「それにしても睡蓮君も金鳳君も姿を見かけないけど」
スポーツ万能な彼らならシュノーケリングを選びそうなのに、と思ったのだが、桃華が聞いたところによると、民泊先が二人とも比較的近いところで、一昨日と昨日で泳いできたので、ボートのプランにしたらしい。
のだが、
「私達の方に来るとは思ってないけど、来たら流石に分かるもんね」
「これだけ周りが多くてもあの二人はわかるって確証あるもんね」
ちなみに、そんな私達の周りも桃華のファンが結構いる。
修学旅行で皆私服だから、桃華の私服姿を一目見たい気持ちは察するけどねえ。あ、カメラでこそっと写真を撮ってる人もいる。
そんな話をしていると、
「ご、ごめん。通し、あ、いた!二人とも!」
「二人とも急いでどうしたの?」
慌ててる睡蓮君と金鳳君がやって来て、私と桃華の影に隠れてしまった。
訳が分からずとりあえず事情を聴こうとすると、
「遥斗様ー!!おまちくださーい!!」
「翔汰様ー!!まだ撮り終ってないのよ!!」
何人かの女子がこちらに駆け寄ってくるのが見えた。手にはそれぞれカメラを持っている。
「どうしたの?」
もう今更聞くまでもないけど、と思いつつ後ろを見遣ると、睡蓮君が苦笑いをして答えた。
「いやあ、ファンクラブの子達が写真撮ってるのはいつものことなんだけど、まあ、撮ってる時間が長いというか…」
隣の金鳳君もやはり苦い顔をして程度ってもんがあるよね、と言った。
「だって、いつまで経っても写真撮るの止めてくれそうにないし、流石に民泊中は来なかったけど、今日は離してくれそうにないし。ずっとカメラ対応してたら修学旅行カメラ撮られるだけで終わっちゃうじゃん!」
「しばらく彼女達には悪いんだけど、カメラ無視してたんだけど、何人もの女子達にカメラを向けられると、やっぱり俺らが気にしなくても、周りに迷惑かかっちゃうし。流石に限度かなって」
おお、生徒会髄一の優しい彼(睡蓮君)に「限度」と言わせるとは、彼女達始まってから1時間ずっと張りつきっぱなしだったようだ。まあ、そりゃあいい加減逃げたくもなるだろう。
そうこう話してる内に彼女達がこちらに辿りついたようだ。計6人、皆息をぜいぜいさせながらカメラを強く握っていた。
「そんなに必死になって写真撮らなくても………」
「椿様や撫子先輩がいない今、麗しき遥斗様と翔汰君を撮れるのは写真を任された私達しかいないんです!」
「私達はファンクラブのカメラ担当として、一瞬たりともお二方の青春の1ページをのがせないんです」
そんな大層な、と思ったけど、彼女達の眼があまりにも真剣そうだったので、思わずそんなものかと納得しそうになる。ファンクラブ所属の者として気持ちが分からないでもないしね。
っていやいや、でも流石に………
私が怯んでる横で、睡蓮君達が来てからずっと黙っていた桃華が動き出した。
「あなたたち!甘い、甘いわ!」
あれ、このテンションいつもの……?
「そんなんで青春の1ページを収めようだなんてまだまだよ!」
やっぱりかーーー!!!
私が睡蓮君と金鳳君の辺りまで下がったのも気にせず、桃華は一歩前に進み出る。
「本人達がまずカメラを気にしているようじゃだめ!モデル撮るんじゃないんだから自然体の彼らを撮らなきゃ。それなのに今はあなたたちから逃げるなんて、そんな状態でいい写真は無理よ」
その姿はまさにゲームのヒロインそのもの。まるで悪人を必死で更生させようと真摯に訴えているようだ。言葉を変えれば、泣ける場面になるだろう。
結局言葉で全てが台無しなのだが…
そんな私の心情にも気づかず桃華は続けた。
「いい写真を望むなら、まず写真を撮る時間をあらかじめ決めておくこと。私達が追いかけてるのは、そもそも写真に関しては引く手あまたの人。私達以外にも撮りたい人がたくさんいるのよ。その中でどれだけ彼らにストレスを与えず写真を撮れるかがポイントよ。
そして、撮る際は少人数で。10分以上撮りたいなら最大でも3人ね。そうしないと周りに迷惑が、ひいては本人達に迷惑がかかるわ。その点を忘れちゃだめよ。
そして、最後にカメラ目線を求めたり、撮ってるアピールをしちゃだめ。盗撮しろと言ってるわけじゃないわ。だからこその撮る時間の連絡だけどね。あくまで修学旅行を楽しんでもらうこと、それが我々ファンクラブ会員達の望みの全てよ」
「「「「「「はい、先生!」」」」」」
ああ、得意の人を謎方面に引き付けちゃったよ。
桃華の気迫に飲まれちゃってるよ彼女達。
「なんなら私の優美ちゃんファイルを…」
「要らない!それ絶対要らないから!」
何故私の写真を出すのか。アドバイスだけでいいよ、十分だよ。
「そういえば桃華のとこのファンクラブの子達は?」
「ああ、それは大丈夫。今そこにいるから」
桃華の指差す先には、先ほどからいるカメラを抱えた二人の男子がいた。二人ともなぜか敬礼している。
いや、海兵さん?きれいな敬礼だけど、どこでそんな技術を??
「それでね、」
と謎のファンクラブの極意を語り始めた桃華に、私はボート早く来ないかな、と現実逃避するしかなかった。
まあ、睡蓮君と金鳳君も思う存分修学旅行楽しめそうだし良しとする………か?




