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体育祭ではケガに注意しましょう。

 綱引きの出場選手の待機場所に行くと、同じく綱引きに出る志穂が待機していた。

「優美ちゃん!出てくれてありがとう!」

「ううん、構わないよ。1種目しか出ないの私くらいだし」

 ほぼほぼ皆2種目出てるのだし、リレー系でないならあまり足を引っ張ることもないだろう。

「綱引きは運動神経は関係ないから、多分大丈夫!」

「うん、一緒に頑張ろう」

「そうだね」

 それから選手入場の合図を受け、各々指定された場所に着く。

 長縄はブロックごとに競うため、皆バラバラで好きに並ぶ。まあ、体の大きな男子が後ろというのは言わずもがなの定位置だが。

 いざ並んでみると、周りは志穂以外知らない子ばかりだった。まあ、別にクラスの子といなくても構わないだろう。と楽観視した。

 試合は順調に進み、決勝まではいかなかったものの、次の試合に勝てば3位というところまでいけた。私達のブロックにしてみれば3位は好成績だ。頑張らねば!

 よーいスタートの合図で、お互いに引っ張り合う。皆3位を狙って本気だ。自然と勝ちに行けるように体も今まで以上に傾く。その時、

「いっ………!」

 突然右足を激通が襲った。しかし、皆体を斜めに傾けているため、他の人の体に阻まれて残念ながら足を見ることが出来ない。感触的には誰かに足を踏まれているのだろうと察することが出来たので慌てて右足を引っ張った。しかし、相当足に力が入っているのか引っ張るとむしろ痛みが増してくる。

 痛みから抜け出せたのは結局敵チームにいきなり引っ張りこまれ私のチームが負けとなった時だった。

「はぁ、やっと、抜け出せた………」

 足にかかっていた重み分の痛みは取れたけど、まだじんじんして痛い。

「負けちゃったね…………どうしたの優美ちゃん?」

「ああ、ううん何でもない!相手チーム強かったからね、仕方ないよ」

 なんだか志穂に言うのははばかられる気がして言わなかった。きっと志穂なら他の人以上に心配してしまう。もしそれで何にもなかったらなんだか申し訳ない気がしたからだ。

 踏まれただけだしまだ大丈夫、暫くしたら治るからと痛む足を叱咤しながら借り物競争の待機場所へ向かう。志穂は借り物競争には出ないので、ここでお別れだ。足をひこずるのを心配されるのを恐れて人目に付かない道を選んで歩く。

「うう、リレーの間に引くはず………」

 待機場所へと足を進めていると、急にぐいっと足に何かが当たった感じがした。

 あ、やばい、足が……体が前に…倒れて…

 前に転ぶのを避け、思わず引きずっていた右足を前に出し、踏みとどまろうとしたが、足を引きずり疲弊した体は上手く扱えず、右足をひねったまま体重をかけてしまった。あまりの痛みに声にもならない悲鳴が出る。

「あんたは退場よ、身の程知らずさん」

 その言葉にゆるゆると後ろを向いたが、その場には誰もいなかった。その時やっと自分は誰かに足を引っかけられたのだと気づいた。

 なんで、だれが、と考えていたが、取り敢えずと痛む足の靴を脱がすと、赤く腫れていていかにもひねりましたといった感じだ。青くなっていないだけマシかもしれない。

 しかし、もうすぐ借り物競争も始まっていまう。

 別に、競争と言っても走るわけではないし、競争が終わってから行っても大丈夫なはず。時間もないし、簡易的な保健室は今いるところの反対側だ。

「退場は、することしてからにしなきゃ」

 そうして、私は待機場所へと向かった。

 今思えばこの時さっきの言葉に意地になっていたのかもしれない。後々自分のこの使命感を恨むことになろうとはこの時誰も知らないのだった。


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