無事当選を果たしました。
単刀直入に結論から言うと、私も桃華も当選した。
まぁ私の方は無効票が桃華の方の2倍あったのもあるが、賛成票は私も桃華も票数はほぼ変わりなかった。
「すっごい意外過ぎてびっくりした」
と真純に言ったら
「まあ別に優美は生徒会に媚売ってる訳じゃないし妥当でしょ」
と言われたが、私の中では結構な衝撃で暫く至るところをつねっていた。結果自分の体が痛んだだけだった。
演説の後だが、柘植先輩は「お疲れ様」って肩をたたいてくれ、睡蓮君は「お疲れ様、どうぞ」とピーチティーを入れてくれた。会長は「良かったと思う」と言ってくれて、桃華は………放置で。
ただ残りの2人が驚きで、まず絶対どやされると思っていた副会長からは
「貴女にあんな度胸があるとは思いませんでした。良く頑張って出来ていたと思いますよ」
と褒められた。そして
「自分卑下するような言葉言い過ぎ。少しあるのはまだ謙虚に見えるけど言いすぎたら逆効果だって分かってるでしょ?」
と金鳳君に怒られた。目は「何抜けがけしようとしてんの?」と言いたいのが丸分かりだった。
確かに金鳳君からしてみたら私がヤケになって言ってるようにしか見えないか。
私は後で
「もう私辞める気失せちゃったので同盟やめましょう」
と言おうと思った。
「優美さん」
はっ、この凛とした声は、と思い振り向くと案の定ファンクラブの会長様達がお集まりだった。小林先輩は委員会で忙しいのかいらっしゃらなかったけれど。
「この間の演説お疲れ様でした。とても素晴らしかったわ」
「あ、ありがとうございます」
いえいえ三月の貴女様の啖呵とは比べ物にはなりませんよユリア様、とは流石に言えず愛想笑いで返した。
「これで優美も正式に生徒会入り出来たんだな」
「おめでとうございます」
「………ありがとうございます」
私は恐縮しつつ頭を下げた。そしてそのまま話を続けていたのだが。
「篠宮優美!」
突然呼ばれ、 振り向くとここから10m程離れた廊下の先に見たことのない美少年が何人かの女の子と立っていた。どうやら声の主は謎の美少年のようで、私が誰か分からず首を傾けていると、ハーフの整った顔立ちをしかめっ面にした。
「貸しは作っといたからな!覚えてろよ!!」
とよく悪役が放つような決めゼリフを言い放ち彼は女の子達と去って行った。
「あれは………」
「優美ってばリア君と知り合いだったの?」
「リア君って誰ですか?」
「今さっき話してた男の子!一年生の中の生徒会役員になるだろうと噂されてる子の1人でファンからは『天使』って呼ばれてる子よ」
あんなに親しげなのに知らなかったの?と撫子先輩に聞かれ、頭の中の引き出しを片っ端から探してみるが、正直リアなんて名前も一個下のハーフの男の子も該当しそうな子は見つからなかった。
ただし、一年生と聞いてそういえばと思い出したことがあった。
「そういえば今回一年生の女子の賛成票が圧倒的に多くて驚いたんですよね」
一年生だからよく分からないまま入れたのかもと思っていたのだが、一年生の女子はその日いた全員が賛成票を出すというのはいくらなんでもと思っていたのだが、もしかしたら彼が何かしてくれたのだろうか。でも私が覚えてないということは彼もそこまで覚えているとは思えない。彼にとっての私に関する強烈な記憶があるなら少しは私も覚えているはずだ。何より「リア」なんて名前そうそうお目にかかることなんてないのだし。
「まぁ、いっか」
取り敢えず記憶の片隅に置いておこうなどと軽く考えていた私は、かれに再会した時に驚愕の事実を知ることになろうとは全く考えていなかったのだった。
結論:同盟持続時間1週間程




