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私は乙女ゲームのヒロインでした。

 そして私は滑り止めの高校に入った。

 高校に入ってとりあえず何か楽しみを作ろうと考えた。趣味と言えることなど何もしていなかったので、楽しいことを1つでも続けていたら落ち込んでも明るくいられるのではないかと考えたからだった。

 そこで私は前世の私の記憶を参考にしてみようと遡って見てみたが、結構内容の濃い人生だった。

 子供の頃は至って普通の女の子だったが、高校卒業を期に芸能事務所のスカウトマンの仕事についた。街中とかで「可愛いですね、アイドルになりませんか」とか言うやつだ。それも1つの仕事だと思えば良かったのだろうが、何をとち狂ったか、彼女は可愛い女の子を見つけるのに生きがいを感じてしまったみたいだ。昔から可愛い子を観察するのが好きだったのもあるようで、仕事を始めて10年して、相手を見るだけですっぴんの顔やその人にどんなメイクや衣装が似合うかまで瞬時に計算できるにまで登りつめてしまっていた。言わば、極めてしまったらしい。それを知った雇い先からスカウトマン以外の仕事も勧められたが、

「美少女発掘が私の生きがいであり永久就職先ですから」

 と断ったそう。

 そんな前世の私の記憶を辿って行くうちに、最初は前世の私に距離を置いていたが、ふと『これを私も真似してみたらどうなるんだろう』と考えた。

「あれ、これ案外いけるんじゃない?」

 前世の彼女は仕事を通して出会った美人達とずっと交流を続けていて、時には彼女達の人生相談に付き合うこともあったらしい。ある人はストーカー被害にあってるみたいで困っていたり。ある人は上京してホームシックにかかっているので悩んでたり。それぞれ抱える悩みのタイプが全然違うので、彼女自身辛かった時とかにもその悩み相談の経験を活かせたことも数多くあったらしいのだ。

 その他にも彼女達との出会いで、物事を色んな面から見る力や良い方向に捉えようとする力など人生においてタメになるスキルをたくさん身につきた。こういうスキルは一生ものだから大切だよ、と前世の私は彼女の友人と話したこともあるらしい。

「最初はとち狂ったか、と思ったけど………面白そう。今の私にぴったりな気がする。そもそも前世の私の趣味だから私にもきっと合うはずだし」

 結果実践してみると、思っていたよりも随分と楽しかった。その子の可愛さをじぶんが分かっているってなんだか楽しい!

 この子には薄めの化粧に女の子らしいワンピース、この子には化粧は普通で少し大人っぽいやつを。

 他の人からみたら単なる気持ちの悪い変人だが、なめちゃいけない。私の容姿は母から受け継いでるのだから、ちょっとやそっとじゃぼっちになんてならないのだ。

 そしてこれが私が美少女発掘に目覚めた所以である。




 そして、引っ越しはというと、行われなかった。何故なら父と母の勤める会社である社員が横領をしていたことが判明したからだ。結果父と母の転勤は来年に持ち越され、ここ最近2人とも忙しそうにしている。横領した人が会社を去っても信用問題は消えたりしないからね。

 結果それに1年がかかり、高校で美少女発掘に精を出していた頃ふとあることが頭の中をよぎった。

 それはちょうど可愛い女の子について考えていた時だった。ふと乙女ゲームのヒロインを思い返し、彼女はどんなのだったかなぁ………と記憶の底の方をひっくり返すと。

 ヒロインは2年生で転入してくる女の子で、髪がピンク色なのが特徴的。そして名前は、

「渡辺、桃、華?」

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