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転生者組で作戦会議をしました。

「そういえば、この際だから聞いておきたいんだけど」

 昼休みの生徒会室。本来なら今日のシフトは私と桃華と金鳳君なんだけど、金鳳君は用事が出来たらしく、代わりに柘植先輩が来ている。結果、今ここには前世の記憶がある人達しか集まってない。ならば、今後のための話し合いをするチャンスということだ。

「このゲームってちゃんと進んでるの?」

 私がこのゲームに関して知っているのは、このゲームが乙女ゲームであること、桃華がヒロインで、生徒会役員が攻略対象であること、彼らの髪は他の人との区別がつくような色であることくらいだ。

 副会長を除いて攻略対象とヒロインは奇抜とも言える髪色をしている。怜様は青、睡蓮君は赤、金鳳君は橙、柘植先輩は緑、桃華はピンク色だ。しかも皆地毛。前世で娘や息子がこの人達連れてきたら色んな意味で卒倒していると思う。

 桃華曰く、

「髪色で攻略対象かどうか一目で分かるでしょ?それにカラフルな方が絵面的に栄えるしね」

とのこと。

 ちなみに副会長は元々黄色だったらしいが、見ていてイライラするので何回も何回も染めてるんだって、と睡蓮君が言っていた。時々金色に見えるのは、あれは黄色のがそう見えるだけなのか、と納得した記憶がある。

 まあ、副会長のように染色することで本当の髪の色が分からない時もあるし、地毛が黒や茶以外の髪の人だって存在する。俊君の髪色はよくよく見ると藍色だし、小さい頃に遊んだ黄緑の髪の女の子もいるし。

 話を戻して、私が知っている情報はこれだけなので、いまいちゲームについて理解出来てない。私の持っている数少ない情報でさえ、あのノリの軽い神様から教えてもらったものだ。他に関してはさっぱり分からない。

「一応進んでるよー」

「でも、桃華と役員で恋愛出来てる気がしないんだけど」

 桃華は進んでいると言うが、乙女ゲームって攻略対象とイチャイチャするやつだと神様から教えてもらった私は疑問を抱えずにはいられない。誠実な恋愛というのにしても見ていて変だし。

「まだ恋とかしてないもの。恋愛する気起きないし。それより優美ちゃんをか」

「結構」

 そちらに熱意を向けんでよろしい。

「それに、元のゲームとこの世界は違うところもあるしな。元のストーリーに影響が出て、恋が遅くなってるとも考えられる」

「え、そうなんですか?」

 というか、なんで柘植先輩がそれを?先輩このゲームには手を出してなかったと聞いてるけど?

 疑問だらけの私は首がどんどん傾く。

「………篠宮、首もげるぞ。前に会議室で渡辺と話したって言っただろ?あの後から俺もストーリーとかが気になって、何度か渡辺と情報のやり取りをしてるんだよ」

「え、そうなんですか」

「………別に篠宮を仲間外れにしたとかじゃないがな」

 仲間外れじゃないのね、良かった。

「まあやり取りしているうちに何点か違うところが分かったんだよ」

「違うところ…ですか?」

「まず、『悪役キャラ』、つまり主人公と攻略対象との恋路を阻む奴らがいない」

「大概が女の子なんだけどね、このゲームでは彼女達の妨害が成功するとバッドエンドになっちゃうんだよね」

 柘植先輩の説明に桃華が補足をつける。へぇ、そうなのか。

「それは悪役キャラが今存在していない、ということですか?」

 名簿を確認したとしても、改名や見落としの可能性もあるから、一概にそうとは言えないよね?

「いや、存在はする。ファンクラブ会長達だ」

 淡々という柘植先輩に対し、私は思わずガタっと椅子を引いてしまった。

「えっ!ユリア様達が恋路の邪魔を!?桃華どんな非道な技使うわけ!?」

 ユリア様達がただ純粋にアイドル達と恋愛しているヒロインを害するはずがない。ばっと桃華を睨むけれど彼女はブンブンと首を横に振っている。

「ゲームの中ではファンクラブの拘束が強くてね、生徒会役員に無闇に近付く輩は何人たりとも許さん!って感じで。」

 そういえば、入学したての頃はファンクラブ厳しめにいくとかって聞いたことあったなー。それがそのままいってたらゲームと同じになってたってわけか。ストンと席をついて、質問を再開する。

「あれ、緩めにしたのって柘植先輩ですか?ゲーム進行を妨害するために」

「いや、悠也が『あんまし厳しいのは息が詰まっちゃうなー』つって俺らも同意見だったから緩めてもらったんだ」

 おぉ、珍しい副会長か。てっきり怜様か柘植先輩かと思ってたけど。

 副会長は自分の損にならないところについては基本野放しにする傾向がある。まあ、得になるところは是か非でも手に入れたがるけど。

「まあ、とりあえず話を戻して。一つがそれ。もう一つは」

 と眉尻を下げて柘植先輩は私を指差した。

「お前だな」

「ですよねー」

 モブが生徒会入りとか普通ないよね。それは納得。でも、これは自分のせいじゃないと声を大にして言いたい。私だって入りたいって言って入ったわけじゃないから!!

「それに転生者の私や柘植先輩もキャラが全然違うしね」

 確かに桃華は何故か私にアプローチしてくるし、柘植先輩はゲームに愛を囁いている。というか

「こんなんで本当にゲーム成り立つの?」

 恋愛どころか高校の青春さえ危うい。2人とも沈黙してるし。自覚はあるのね。まぁ、3人とも前世を含めるともういい歳だから今更青春もこっ恥ずかしいのかもしれないけど。

「………とりあえず自分がしたいことを頑張ろう」

 と柘植先輩が言ったところでチャイムが鳴ったので、足早に私達は生徒会室を離れた。

 しかし、のんびり構えていた私は知らなかった。………後後ゲームについてもっと知っておくべきだったと後悔する羽目になるとは。

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