球技大会はつつがなく終わりました。
嵐のような写真会が終わり、決勝戦まで勝ち残るなんて無理無理!な私のチームは程々な時間に全ての試合が終わった。
そして、今私はそれぞれの順位が書かれてある賞状にクラスをマジックで書いている。
桃華?いつもの通り
「優美ちゃん、待って!私も行くー!」
とついて来ようとしてたけど、ファンの子達に囲まれてたので置いてきた。いや別にファンの子達の「お前邪魔」な視線が辛かったわけじゃないですよ?その前から「スポーツで揺れて可愛く見える髪型」をしようと手をワキワキさせてる桃華の背後から「またこいつかよ」みたいなオーラを感じてたから、逃げてきたわけじゃないですよ?こういうのはいつものことですしね?それにほら、早めの準備とか大事ですし、ファンとの交流もアイドルは大事ですよね!
「篠宮さん、遅れてごめん!」
と、そこに周りのガヤガヤした音から浮いた、耳に心地良い声がした。振り向くと、睡蓮君が申し訳なさそうな表情で私の元に走り寄ってきていた。
「別に構わないですよ?私が早く来てただけですし、クラス書くだけだからすぐ済みますし」
しかも使っているのはただのマジック。慎重にゆっくり書こうにも滲んでしまうため、程々丁寧にすらすら書くしかなく、たかが12クラス分、数えると24つしか文字をかいてないんだからあっという間に任務完了。
「それより、お疲れ様です。準優勝するなんて凄いですよ」
睡蓮君のチームはやはり強くて決勝戦まで進んだけれど、相手チームである怜様率いる3年3組男子チームがこれまた強かった。結果、内野の人数でギリギリ怜様のチームが優勝した。その試合はチームの選手も周りの応援団までもが真剣になるほど白熱して、終わった時は勝ち負け関係なく両チームの選手を賞賛していた。私も思わず手が痛くなるまで拍手をしてしまった。青春って良いわ!
選手は皆汗をかいていて「ザ・スポーツマン」でいつにも増してかっこよかったが、中でも睡蓮君と怜様はイケメン度が増して、ファンクラブの応援団も思わず感嘆のため息を吐くほどだった。イケメンは何が付いたってイケメン度が増すだけなのが悔しい!何故「暑苦しい」ではなく「爽やか&キラキラ」になるのか!誰か研究してくれないかな?私は無理だけど。
「ありがとう。篠宮さんもお疲れ様」
やはり負けて悔しいのか、睡蓮君は苦笑いで返事をする。
「まあ怜先輩のとこに負けたのは仕方ないよ」
「でも結構な僅差だったじゃないですか」
「篠宮さんは嬉しいんじゃないの?大好きな怜先輩のチームが優勝したから」
「まあ」
どんなファンだって好きなアイドルが勝ったら嬉しいものだ。私も勿論ファンの1人な訳なので嬉しい。
「でも、大好きは言い過ぎですよ、憧れの気持ちはありますけど、ファンとしての好意です」
自分が怜様を恋愛感情として好きだなんておこがましい。そもそも、そんな感情あったらまず生徒会役員にはなってない。なんせ役員になる条件に「生徒会に媚を売ったり色目を使ったりしないこと」、言い換えると「役員に恋愛感情を持たないこと」がある時点で私が怜様に恋をするなど言語道断!告白するような「大好き」なんて気持ちは少しもなかった。
「あれ、そうなの?てっきり俺は」
「賞状書けましたか?」
話をしていると副会長がやってきたので、ほいと賞状を手渡す。睡蓮君が何か言いかけたようだが、すぐに「戻ろっか」と私を促したので、そこまで重要な話ではなかったのだろうと納得した。
そのまま閉会式が行われ、つつがなく球技大会は幕を閉じた。




