写真会は嵐のようでした。
トイレ行こー、ついでに逃走しよー、と生徒会室の扉を開けた先には例の御方達………ファンクラブ会長達がいたのだ。
「優美!なんで体育館いなかったのよ!」
「あ、撫子先輩……えっ……と……!?」
ちょっと待って!先輩、揺すり方が激しすぎます!
「だって需要ないから」さえも言えない程強く揺さぶらないで!ぐらぐらする!
それを見かねたのか、ユリア様が助け舟を出してくれた。
「撫子さん、そのくらいにしておあげなさい。優美さん困ってらっしゃるわよ」
「でもさー」
「まぁ、写真ならここでも撮れるしいいんじゃない?」
「菊乃も言うんだったら………」
はぁ、やっと解放された。解放されても頭ぐるぐるしてるけどね………。
「ところで優美さん、どこに行くの?まさか逃げ」
「と、トイレに行くところです!」
すみれ先輩、勘良すぎです。てか、目が座ってらっしゃるのはなぜなんですかー、なんで逃げるの分かったんですか!今風に言うと、パねぇ、マジパねぇって奴だよね!………あれ、古かった?
まあ、逃げないとは言ってないから、トイレにこも…………あ、いや、こもると色々女としての危機が迫るか。トイレに行って、メールで友達に呼ばれたからって言って逃走しよう、そうしよう!
「じゃあ、行ってきます」
と足を踏み出したところで服を引っ張られた。
振り向くと、椿先輩が私の体操服をつかんでいて、
「………私も」
え、一緒に来るんですか?私からしてみたら非常に困るんですが。
「あ、私も行くー」
撫子先輩もなんですね、私の計画は尽く潰されるんですね………泣きたい。
トイレから戻ると、そこはもうカメラフラッシュのオンパレードだった。まあ、体育館での生徒会役員との撮影会も似たようなものだけど、被写体がモデル並の美形ばかりだから、雑誌の撮影みたいになってる。
「あれ?」
その集団の中に、見慣れない男子生徒がいる。
こちらに背中を見せているため顔は分からないが、この場にいるのだから、考えられるのは桃華のファンクラブ会長しかいない。桃華と親しげに話しているからそれと見て間違いなさそうだ。
ここで、今まで散々逃げられなかった私の気分がふっと上昇した。もしかしたら、彼は私のような普通さんで、この写真会に動揺してるのではないかと!
これは!これはモブ顔か!?
「あ、優美ちゃん!写真写真!」
桃華の呼びかけに反応するように彼がこちらを向く。
私は期待を込めてわくわく見ていたが、次の瞬間、ものすごく後悔した。
「あ、初めまして。桃華様のファンクラブ会長をしています、小林克也といいます」
「お前もか………」
あれはイケメン(てき)だ。あちら側の人間だったわ。気分が一気に下降する私にきょとんとしてるけど、原因あなただよ?役員達よりキラキラしているワケじゃないけど、女には困らないだろうなくらいなイケメンであるあなた様ですよ。
期待したのにぃ………。なんかカエサルや項王の気持ちが分かった気がする。彼らは死に際だったから、もっと悲壮感ただよってたでしょうけど。
私がぼっちに打ちひしがれていると、さらなる爆弾が。
「あ、ついでに言うと、優実ちゃんのファンクラブのナンバー17番さんだから」
「はぁ!?」
いつの間に増えてんのファンクラブ!あんなもの今の時点でも黒歴史以外の何物でもないのに!てか今闇に葬れるなら今すぐ清めの塩用意するのに!
「さ!写真撮らないと時間無くなっちゃうよ、早く早く!」
元凶が何を言うか!
思わず桃華を睨んだけど桃華は小林君とそ知らぬ顔でカメラの輪の中に入って行った。仕方ない。参加するか、後で恨みは買いたくないし。顔が整ってらっしゃる方々って怒ったら普通の人より凄味が増すんだよね。それだけは避けなきゃ。
その後、1人1人ツーショット写真を撮らされたり、皆での集合写真でセンターにさせられそうになるのを本気で阻止していたらあっという間に試合の時間となった。まるで嵐。生徒会室はそこまで広いというわけじゃないので結構もみくちゃにされた。居づらいことこの上ない。更にカメラマンさんが「青春だなぁ」とかいった目で見てくるので物凄くいたたまれなかったしね!
勿論センターは死ぬ気で阻止しましたよ!後で女の子たちに私の顔だけ切り取られる未来を想像してきちんと端っこになりましたとも。自分のとこだけが切り取ら………言ってて悲しくなってきた私は悪くないと思う。




