役員との写真は断固お断りです。
お昼休み前、ちょうど私達のクラスの女子は試合が無く、男子達を応援出来るのは今しか無いということになったので、女子皆で第一体育館に移動した。
「そういえば、私達のクラス(だんしたち)ってどこと?」
「えっと、確か2年5組だって」
え………5組………
私達は会場に行く前からクラスメートに合掌をした。
というのも、男子の方は基本優勝候補は、まあ運動部ばっかりのクラスはそれとして、生徒会役員の入るクラスも挙げられたりする。役員達は基本皆運動神経が良くて、あれですね、天は二物も三物も与えるんですね。
特に役員の中でも睡蓮君は色んな運動部から勧誘(と書いて懇願と読む)される程の運動神経の持ち主。そして、そんな彼のクラスこそ2年5組なのだ。
2回の応援用スペース(ステージ照らすための照明器具とかがある、壁に沿って作られた廊下みたいなもの)に移動してクラスメートを眺めてみると、やっぱり皆先程の私達のように死んだ魚のような目をしていたどころか、何だかどうにでもなれ!とヤケになっているように見える。
まだ睡蓮君1人だったなら良かったんだろうけど、去年同様野球部の次期エースや陸上部で頑張ってますな人や、運動神経バッチリだぜな人達が数名。
一方私達のクラスの男子達は、運動部は野球部の補欠君や、サッカー部だけど手でする球技は全然な人ぐらいで、あとは結構大人しく生きてるひ弱そうな子達ばかりだ。つまり、差がありすぎてかわいそうとしか言えない。
しかもあちらには、
「きゃー!遥斗様ーー!!」
「頑張ってー!」
黄色い可愛い応援団がいるしね。
結果は男子達には悪いが、無論惨敗。
女子の前で凄い負け方をしたのが嫌なのか、男子達の背景には線が何本も垂れ下がるかのように沈んでいた。
特に我がクラスの桃華のファンの悲壮感はさらに深いようで、5組の生徒達や、睡蓮君のファンの子達のはしゃぎっぷりとは雲泥の差だ。
我々女子が出来ることと言ったら、「君達の奮闘は十分伝わってるよ」と視線に乗せて伝えることだけだった。合掌。
「あれ?篠宮さん?」
ふと声がして扉の方を向くと、金鳳君と副会長、柘植先輩が写真撮影を終えて生徒会室に戻ってきていた。私はというと、どうせ暇なのでトーナメントの集計中。
「ファンクラブの子と写真撮ったの?」
「いや、皆様のファンクラブと一緒にしないでください」
規模全然違うじゃない、何故かメンバーが豪華だけど!
まあ、山中姉妹とはさっき生徒会室に来る前に押しきられて撮ったが、 正直に言うと、役員達やユリア様達と写る気はない。
別に皆さんが好きとか嫌いとかの問題じゃなく、相手が美男、美女というところの方が大事なのだ。
私はモブ。相手はハイスペック。モブとハイスペックが並ぶと、何故かモブはハイスペックの引き立て役となり、所謂不釣り合いが出来上がってしまう。
それでも、とツーショット写真を撮るファン達もいるが、私の場合、後後見て羞恥心が芽生えるよりもその人単独とかで十分なのです、お隣なんて、そんなおこがましいこと私のメンタルじゃ無理なのですよ!ガラスのハートなんて言わないけど、チキンな私にゃ無理!
皆とそのままの流れでトーナメントについて話していると、いきなり大きな音を立てて扉が開き、一瞬後には肩を強く揺さぶられていた。犯人は勿論桃華である。
「もー、なんで体育館来ないの!?優美ちゃんとの写真撮りたかったのにぃ」
「いや、だって私も桃華も役員だからさ、役員同士の写真ってここで撮れるじゃない?」
「とか言って、写真写り悪いからって逃げるつもりでしょ!」
「ソ、ソンナコトナイヨ」
なんで分かった!?あっちだと逃れられないから生徒会室に取り敢えず来て、カメラマンが来る前に仕事終えて教室避難しようと思ってたの何故バレた!?
ぷくーと頬を膨らませてて、とっても可愛いけど、あなたの想像がドンピシャ過ぎて怖いよ!エスパーか!?一緒について来てた怜様や睡蓮君も引いてるよ!!
「もう、お昼休み終わるまで教室とか体育館とかに避難はなしね」
「は、はい。分かりました」
でも取り敢えずお手洗いに………と申し訳なさそうにして生徒会室の扉へ向かう。
勿論トイレにこもるためであるが、そんなことちらとも見せずに、出てい………けなかった。
扉を開けようとした瞬間に例のお方達がやってきたから………




