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会長と罰ゲームと言う名の買い出し中です。*後編*

 歩くこと約10分。

 駅から少し離れ、人通りも程々な所にある、見た目はありふれたレトロ風な喫茶店。

「喫茶店シスル?」

「はい、お茶を飲みにも来るんですけど、よく茶葉も買ったりするんですよ。紅茶の入れ方もここのマスターに教えてもらったんです」

 こんにちはーと扉を開くと、喫茶店独特の香りと少しフローラル系の香りとともに、カウンター越しにマスターが笑顔でいらっしゃいと出迎えてくれた。マスターはいつ見てもダンディーなオジ様で昔はさぞモテてたんだろうなと思わせる。

「マスター、お久しぶりです」

「お久しぶり、優美ちゃん。そちらは部活の先輩かい?」

「はいです。それより、おすすめの紅茶のお茶葉とコーヒー豆もらえませんか?それぞれ3袋くらいで」

「3つか。取り敢えず紅茶はアッサムとダージリンと………フレーバーティーは何がいいかな。あとコーヒーはやっぱりブルーマウンテンかい?」

「あ、そうですね。是非ともブルーマウンテンで。あとフレーバーティーは、そうですね、桃ですかね」

 でいいですか?と怜様に確認をとり、了承を頂いたので4種類合計6袋を出してもらう。

 お会計は、と財布を取り出そうとすると、怜様が前に進み出て払って下さいました。ありがたやー。

「あれ、優美?」

 ふと、聞き慣れた声が聞こえたので振り向くと、同い年くらいのウェイトレスの青年がいた。

「?俊君?今日は部活じゃなかったっけ?」

「コーチが今日は都合が合わないからって急遽変更になったんだ。そっちこそ、まだ家に紅茶とかは残ってたよな?」

「これは生徒会用の。折角だからいつも買い慣れてるマスターのとこで買おうと思って」

 へぇ、と俊君が頷いた時、遠くからチリンとベルの音がした。お客様の呼び出しベルだ。

「あ、行かなきゃ。………あ、そうそう。今日は早めに帰れるって伝えといてくれる?」

「了解。伝えとくね」

 そのままお会計が済んだようなので、マスターにまた近いうちに来ますと言ってから、怜様と店を出た。




 店を出て時計を確認すると、時刻はお昼近くだった。

「もうお昼ですねぇ」

 早く帰りましょうかと言いかけると、どこかで何か食べるかと怜様が仰ったので、どうせならと乗らせていただく。

「どこにします?」

 ここら辺だとどこがあるかなぁと頭の中の地図に検索していたところ、怜様はふと思い出したように私に問いかけた。

「オムライスの店が少し歩いたところにあるから、そこは?」

「オムライスで良いんですか?」

「オムライスは篠宮の好物なんだろう?」

 オムライスやったーなんて思っていると、え、怜様なんで知ってるの?

「な、なんでそれを………?」

「ファンクラブのメルマガで届いた」

 怜様のケータイのメール画面を見せてもらうと、そこには確かに私が以前桃華とやった質疑応答文が書かれていた。

 数日前、

「ファンクラブの活動として、優美ちゃんにインタビューさせてください!」

 なんて桃華が言ってきたので、恐らく誰も私のファンクラブのメルマガなんて見ないだろうし、別にまあいいかと質問に答えてあげたのだ。そもそもメルマガ配信なんてしないだろうと高を括って。

 まさか、怜様がメルマガを見たり、よもやその内容を少しでも覚えているなどと誰が思おうか………(いや、思うまい)!

「どうした?」

「い、いえ!嬉しいです!行きましょう!」

 大きな恥ずかしさや戸惑いと、ほんの少しの嬉しさの中、怜様と食べたオムライスはとても美味しかった。

後日役員達で割り勘しました。

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