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出かける前から大変です。

「真純ー!」

 朝一番、私は真純に飛びついた。真純は驚いた様子だったが、なんとか受け止めてくれた。たまーにしらっとよけられることもあるけど。

「どうしたの、優美」

「うぅ、それが………」

 と、真純に昨日のことについて話す。真純が呆れた表情をするのはデフォなので、長年の付き合い故に特に今では気にしていない。

「それは、まあご愁傷様?」

「なんで疑問系!?だって、まさか会長が負けるとは思わなくて」

「そりゃ生徒会役員様の、しかも一番人気の会長と買い物なんて普通の女子なら皆きゃーきゃー言うもんじゃない?」

「いや、でもさ?でもぉ………」

 だってだってとすねる私を真純が撫でるのもデフォ。相談する理由の1つは、真純に撫でてもらって気持ちを抑えるのもあるのだ。

「だったら桃華にしときゃ良かったのに」

「桃華は桃華でやばいよ」

 買い物ちゃっちゃと済まして物凄くファンシーなもので着せ替え人形される可能性大だし。

「良い子じゃない。桃華は」

「それはそうだけど、なんか私の容姿に関する時だけ目ギラギラしてるし」

「まあ、それは…………」

 ほら、真純も言葉に詰まってるじゃんか。

「それで、本当の相談は?」

「うん、真純あらかた私の持ってる服知ってるじゃない?だから、どんな服が良いかな、と聞こうと思って」

 服のセンスがないわけじゃないけど、私なんかより何倍もセンスがある真純に聞く方が安全なため、たまに一緒に買い物に行ったりするのだ。

 すると真純はああ!と納得した後、閃いた様子でそれなら、と言葉に出した。

「それなら佳織さんに聞いた方が良いんじゃない?」

「おかあさんに?」

「佳織さん、そういうの好きでしょ?センスあるし」

「確かにそうかも………じゃあ帰ったら聞いてみよっと」




「ただいまー」

「おかえりなさーい」

 今おかえりと言ったのは先ほどの佳織さんことおかあさん。なんというか、ほんわかしてる人だ。

「夕飯もうすぐ出来るから待っててね」

「あ、じゃあ私も手伝うよ!」

「あら、助かるわぁ。じゃあ………」

 おかあさんは料理が上手く、その腕は近所のママさん達も認めるほど。………はぁ、私もあれくらい上手かったらなぁ、近くでいっつも見てるのに上手くなった実感など一度もしたことない。

「あ、そういえばおかあさん。この休みに部活の人と出かけるんだけど………」

「あら、お友達?」

「ううん、生徒会長」

 私の口から「生徒会長」という言葉が出ると途端におかあさんの目が輝いた。お察しの通りおかあさんは結構な面食い。と言ってもアイドルとかにかっこいいと言うのと同じくらいで、そんなことでおとうさんと喧嘩したりはしない。

「優美ちゃんのところの生徒会って確か皆さん成績優秀で顔立ちが整ってるのよねー?しかも生徒会長って男の子?ってことはデート!」

 きゃー!なんてはしゃぐおかあさんを見て今度はリビングでテレビを見ていたおとうさんが

「なに?優美がデート!?彼氏がいるなんて聞いてないぞ!」

「いや、彼氏じゃないって、しかもただの買い出し」

「でも2人なんでしょ?青春だわー」

 左にはデートなんて!と色めき立つおかあさん、リビングにはデートなんて!と幻の涙を流すおとうさん。

 ………おーい。2人とも戻って来てー!




「取り敢えず、それはおいといて。私服とかのセンスに自信がないから、おかあさんに何がいいか聞こうと思って」

「そうねぇ。この時期だったら、たしか上がレース素材の緑のワンピースがあったわねぇ。それと花柄のサンダルはどうかしら?」

「え、そんなのあったっけ?」

「この前私が買ってきたのよー」

「でも、スカートは………」

 やっぱり学校でも長めスカートの私なので私服でスカートは少し抵抗がある。女子っぽくないって?それは私が一番知ってるから!幻の涙がでるから………ぐすん。

「優美ちゃん、スカート苦手だものね。でもせっかく買ってきたから是非着てほしいのよ」

 お願い!とポーズされ、思わず頷きそうになる。おかあさんは全体的にほんわかしてるので、ついつい可愛くて許してしまいそうな雰囲気を持っている。将来はこんな大人を目指したいものだ。今の時点で無理だけど。

「うぅ」

「お願い!ね?」

 そ、そんなに言うなら…………

「分かった」

「やったー!せっかくだからこの後着てみて!」

「う、うん」

「ついでにいっぱい買ってきたからそれも着てみてね」

「はい………」

 結局私はその夜着せ替え人形と化した。

「真純ちゃんに、服に困ったら私に言うよう言ってみるものね」

 って、おかあさん!?根回ししてたの!?

 そして、おとうさん!安心してデートじゃないから!泣かないで!

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