ここ2週間の報告をしようと思います。
柘植先輩と渡辺さんの内密会議からかれこれ2週間程経った。この2週間の間のことを皆様に報告しましょう。
まず、渡辺さんの私に対する懐き方が尋常じゃなくなりました。1日に1回必ず抱きついてきます。
ちなみに、抱きつく位置が腰回りなのですが、よく彼女が「太っている形跡なし」と言っているのは放置の方向で。というか、そんな数日で太るかぁ!と言いたい。
それと、お昼休みだけでなく、休み時間や放課後にも一緒です。それで、話は、世間話もしますが、たまに私の容姿の話にもなりまして。
「授業中にふと思ったんだけど、優美ちゃんツインテールとか絶対似合うと思うんだ!」
「優美ちゃん、お肌の保湿怠っちゃだめだよ!ちゃんと毎日保湿しなきゃ。あと、体を洗うときも無闇にゴシゴシするのもお肌に悪いから、泡立てた石鹸で優しく、かつ今の時期は1週間に2回程でやらないとダメだよ」
うん、彼女は私のマネージャーか何かでしょうか。完全に私を改造する気でいっぱいですね。正直元がこんなんだから、そういうので変わったりはしないだろうけど。
ちなみにですけどね、彼女のことをどう呼ぶかにひと悶着ありまして。
「優美ちゃん、私のことは桃華って呼んでね!」
「桃華さん?」
「桃華さんじゃなくて、桃華!」
「桃華」
「そう!それで呼んでね!」
その時の不機嫌な顔から一瞬で周りに花でも咲いてるような破壊力抜群の笑顔をするのはどうかと。お陰で逆らえないじゃないか!おそるべし、美少女パワー。
渡辺さん、もう桃華でいっか。桃華は真純のことは何故か真純ちゃん、真純姉様と呼んでた。いや、真純ちゃんはともかく姉様ってどうなのかしら。
本人も満更でもなさそうに、妹よ、とか言ってたりするし。うむ、よく分からん。
さて、続いては、山中さんの興奮の仕方も尋常じゃなくなりました。
桃華と2人で「優美ちゃんにはこういう髪型が似合うと思うんだけど!」「え、でも、篠宮さんにはこういうのもいいんじゃない?」「確かに!でも」(以下略)
山中さんの場合は、昔からお姉さんの飾り付けとかをしてきたらしく、おしゃれには敏感なようだ。私の周りはオシャレに敏感過ぎると思うんだよなー。あれか、これが噂のJKか。
さて、基本クラスでは、私と真純と桃華と山中さんの4人で行動しておりますが、劣等感ハンパないです。
真純は、姉さん的な性格で、顔立ちも美人の部類に入るので、 多くの女子や男子からも人気があります。桃華と山中さんは、可愛らしい方面で2人共人気があるようです。
それに引き換え、私は平々凡々な奴ですからね、ホントに自分ここにいていいんだろうか感があります。まあ、生徒会でもまんまそうなので、放課後だけの劣等感が一日中感じるようになっただけですが。
ストレスで胃が痛いとかないのが、まだましなんですが。ええ、健康と図太いのが取り柄ですが何か!!私はどうせモブですよ、しくしく。
それはおいときまして、おいときたくないですが、先に報告を済ませましょう。
といっても、最後の報告なんですがね。一番重要ですが、 ヒロインが生徒会に入りました。
勉強出来て、日頃の行いが良い。会長に物怖じしない。役員に媚を売らない。役員達が認める。これだけ出来ればばっちりばっちりなのですが。
まず、放課後になると、どこで役員と仲良くなったのかは知りませんが、桃華が手伝いとして生徒会に来るようになりました。そこでも、嫌な顔一つすることなく、割り振られた業務を淡々とやってた訳ですが。
例えば、私と桃華で仕事に行く時。
行きは普通に話しながら行くんですが、帰り道で大概「優美ちゃんの髪いじらせてー!」と追いかけてくるため、私なりの全力疾走で生徒会室に戻って、掃除用具入れの中や準備室など隠れられるところに隠れるわけです。
彼女に髪の毛いじらせたらどんな恥ずかしい髪型にされるか分かったもんじゃない。断固死守してます。それを見た役員達は仲良いなと思ったらしいです。勘違いって怖いね!
それに加えて、彼女、他の役員と仕事してる時もたまに私のこと話すらしいんですよね。会長にまで「優美ちゃんはこんな服装似合うと思いませんか?」と聞く始末。もはや、上の条件は斜め上の方向ですが、満たしているわけです。んでもって、役員達全員の信任も得たので、無事生徒会役員採用です。
私?反対しようものなら、「代わりに〇〇させて!」とか言われそうなんだもん。我が身が一番大事なのさ、人間だもの!
ちなみに、彼女の場合ファンクラブ達からの嫌がらせは無かったようです。
理由は、一つは容姿端麗で成績も良いのに、私への執着について皆が知っているため。………どんだけやねん。
もう一つの理由は、彼女のファンクラブ。人数は役員のファンクラブの半数くらいで、男女比は役員のファンクラブと真逆ですが、結構そこのファンクラブが勢いが凄くて、半数とはいえ出来て2週間でここまで作っているのは大きいらしく、迂闊に桃華に手を出すと危ないという噂も出るほど。というわけで、何事も起きませんでした。 羨ましい。
でも、私にファンクラブなんか出来るはずないし、真純や山中さんとかならまだ可能性あるけど、私じゃあなー。
と思ってた時がありました。約1日ですが。
その日、生徒会室に向かおうと桃華と歩きながら話してマシた。
ちなみに、彼女が以前私に対し転生者とバラした時に、彼女が始め高圧的な態度を取っていたのは、私に嫉妬をしてほしかったかららしい。しかし、私が嫉妬するはずもなく。でもそこが私らしい!と思わずバラしたらしい。………理由を聞いても解せんのは何故だ。
まあ、話を元に戻して。彼女が不意に顔を輝かせながら「あ、そういえば」と呟いたので、嫌な予感がしながらも、どうしたの、と問いかけると。
「ついにね!優美ちゃんのファンクラブが完成したんだよ!」
「へえー、私のファンクラブが出来……………私の?」
「そう、優美ちゃんの!」
お前何がしたいんだ、と問い詰めても良いですか。




