ヒロインへの理解が追いつきません。
「貴女は『ヒロイン』としてこの学園に来たの?」
彼女の真意を確かめるには、今この時しかない。取り敢えず彼女のしたい事を聞かなきゃ。
渡辺さんはキョトンとした顔をして、すぐに、口角を上げて笑い始めた。そして、ひとしきり笑った後、高圧的な目で私を見た。
「やっぱり貴女も転生者さんだったのね」
「てことは貴女も転生者?」
「そう。ある目的を成し遂げるためにね」
「ある目的って、つまり役員達を攻略すること?」
「そうだとしたら、貴女はどうする?」
やはり彼女は役員達の攻略が目的なのだろうか。でも、もし仮に彼女が彼らを攻略する気があろうとなかろうと、
「私は乙女ゲームには一切興味がないし関係ない。貴女が誰を攻略しようが、私はただ生徒会業務をこなすだけ」
私はファンクラブ会員で役員だけど、彼らを縛るようなことはしたくない。彼らが恋愛をしたければ、それは彼らの自由であって、私の口出しするところじゃない。………多少傷付くかは別として!
「随分と軽く見てるのね。彼らが私に落ちたりしないって考えてるの?」
「そんなわけない。だって貴女はヒロインだもの。貴女が本気になれば、きっと役員達は攻略される。だとしても、私はただただ興味がない。ただそれだけの話」
さて、彼女の目的はもう8割役員の攻略だろう。生徒会、居辛くなるかな、まあその時は罷免されるかな。そしたらお役御免で解放されるかも。
「それで貴女の目的は?」
「はあ、きっぱりと言うのね」
「へ?」
今の「きっぱりと言う」っていうのは目的を訊いたことではないだろう。さっきから訊いてるし。てことは、私が興味ない云々ってとこかな?そんなに私が嫉妬するって思ったのかな?
私が疑問符をつけていると、彼女は何かをぼそりと呟いた。全然聞こえなかったけど。
「えと、何て言ったの?よくきっ、ごふっ!」
よく聞こえなかった、と言いかけたところで、体全体、主に腰周りに圧迫感が。思わず女の子らしくない声が。失礼。でもさ、もしかして、今私抱きしめられてる?
「そんなところも可愛いよー、優美ちゃん!」
………なんか盛大に告白されてる?
取り敢えず、彼女の抱きしめる力が強すぎて呼吸困難なので、肩をぐいぐい押して解放してもらう。
「あー、こんな天使がいるなんて思わなかった!か、わ、い、いー!」
「え、えと………演技ですか?」
「演技なんてしないよー。私の目的は可愛い女の子の発掘だもの!」
「可愛い女の子の発掘………?」
「そう!私前世ではアイドルのスカウトマンやってたんだけどねー、もう仕事好きすぎてほぼ趣味になっちゃって。もうこれが楽しいのなんの!で、今世でも美少女の発掘をするのが今の私のも、く、て、き!」
正直信じられない。ヒロインが美少女発掘って、お前も美少女だろ!ってツッコミたくなる。
「確かに私はこのゲームでのヒロインとして転生してきたし、恋愛対象も男の子だよ。攻略対象に興味がないって言ったら嘘になるけど、正直乙女ゲームやるくらいなら光る原石を磨きあげて素敵な美少女にする方が良いな。恋愛は二の次!」
絶句するとはこのことだろうか。色々思うことはあるけれども、言葉にならない………
「さてと。取り敢えず生徒会室行く?」
ヒロインについて全然理解が追いつきません!




