皆で紅茶を飲みました。
自己紹介やクラス写真撮影が終わり、早速部活動や帰宅をするため教室を出ていく生徒達を視線に入れながら、私は生徒会に向かうための準備をしていた。
ヒロインこと渡辺さんは山中さんと話している。
確か山中さんが渡辺さんのお世話役を頼まれていたから、これから学校案内でもするのかもしれない。
「優美、これから生徒会?」
「うん、入学式の準備」
「大変だねー」
「ま、業務はやらないと皆に怒られるから。じゃあね!」
そのまま、帰宅する真純と別れて生徒会室へ向かう。
向かう最中にふと柘植先輩と渡辺さんについて話したことを思い出す。
「正直あいつの狙いが誰なのか分からない。が、生徒会に入るためにお前に接触はしてくるだろうな」
「ですね。そういえば、彼女が転生してきたって可能性も」
「あるだろう。それなら余計厄介だな。とにかくしばらくは様子見だ」
渡辺さんの目的が未だに何とも言えない以上、何も出来ないですよね。出来れば意地悪してくる子じゃないといいけど!
入学式の準備も滞りなく終わり、今は全員で休憩中。せっかくなので、紅茶担当をやってみる。
私はあまり清涼飲料水や、炭酸飲料は飲まず、基本家では紅茶かコーヒーを飲む。なんかジュースやソーダは口の中がベタつくんだよね。お陰でカフェインたっぷりで勉強はかどるし一石二鳥だ。あんまり目が冴えすぎてもいけないから、夜10時以降には飲まないようにしてるけど。
お湯が沸騰したところでポットに茶葉を入れて数分蒸らす。それから生徒会専用のティーカップに注ぐ。本当は他にも諸々やった方がいいのもあるけど、まあこんな感じで。休憩時間はそんなにないしね。
「お待たせしました」
とカップに注ぎ、皆さんに配る。
「篠宮さん、もしかして本格派?」
「本格派といえば本格派かもしれません」
今時本格的に紅茶を入れたがる人は少なくない。私もその内の一人だけど、毎日はちょっと、って感じだ。今のもカフェで出すほどでもないと思う。
でも、生徒会役員様達はそうでもなかったのか皆嬉しそうに紅茶を飲んでる。怜様の微笑を貰えたのなら、これ以上の褒美はないや、とホクホクしていると。
「そういえば、篠宮さんのクラス、転校生がいたよね?どんな子だった?」
と副会長からのお言葉が。そ、そりゃ知ってるよね、生徒会副会長ならね、ハハハ。
「明るくて可愛い子でしたよ」
「感じは良いみたいだね。取り敢えず、今週中に生徒会室に連れてきてくれる?色々話さないといけないことがあるから。」
「リョーカイシマシター」
断る理由がない。接触したくないんだけどなあ。はあ、出来ればいい子でありますように!
柘植先輩が同情するような目で見ているので、親指を立ててグーサインだけしておいた。顔は引き攣ってるだろうけどそこは見逃してください……




