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投げ飛ばした方は可愛くて繊細です。

今回視点が前半後半で変更です。だれかは、お楽しみに♪

 バアンと大きな音がすると、そのまま睡蓮君は床に投げ出され気絶していた。

 頭は打ってなさそうだが恐らくいきなりの背負い投げのショックがでかすぎたんだろう。


 まあ睡蓮君は大丈夫だとして。


「あの…椿先輩…?」


 急いで睡蓮君の頭の怪我がないかを確認し、ゆっくりと睡蓮君の体を床に横たえていた、背負い投げをした張本人に声をかけると、悲しげな顔をしてこちらを向いた。


 まさか屈強な男子生徒ではなく、私と同じ身長の小柄な椿先輩が平均身長より高い睡蓮君を投げ飛ばすとはほんとに、驚きの言葉しかでてこない。


 私があっけにとられていると、椿先輩は下げた眉を戻しぽつりとつぶやいた。


「嫌い、になったよね」

「え?」


「こんな、強くて可愛くないの、ごめん…」

 言われて、言われた単語をつなぎ合わせああ、と納得した。


「椿先輩のこと嫌いになんてなりませんよ、さっきのだって私と睡蓮君を助けようとしてくれたんですよね?そんな優しい人のこと嫌いになんてなれませんよ!」

「………ほんと?」

「はい、助けていただいてありがとうございます」


 腰を屈めて個人的1番のスマイルで嫌いになってないことを伝えると、ふわっと見たことない可愛い笑顔を返された。


 可愛い、キラキラしてるよ……また、私はキラキラで負けるのか………


 椿先輩は笑みを続けたまま睡蓮君の頭を自分の膝に置いていた。穏やかな様子に心の闇を抑えつつ安堵していると、廊下からパタパタとかけてくる音がした。


「椿大丈夫!?」

 慌てたような声に振り向くと、息を切らしながら焦った様子の撫子先輩と金鳳君がいた。


 ということは柘植先輩の言ってたあいつって椿先輩のことだったのね。はい、今納得しました。


 2人は入ってきたあと、椿先輩と膝枕されて気を失っている睡蓮君を見て安心していた。


「いやもう、ほんっと心配したー。睡蓮君が倒れたって聞いた途端無言で走っていくしめっちゃ速くてしばらく驚きが止まらなかったもん。で、来てみたらなんか終わった様子っぽいし」

「撫子、ごめん」

「別に構わないよー、椿が無事ならそれで!それにこの為に会長になったんでしょ?」


「え、そうなんですか??」

 てっきり他の方みたいに投票とかだと思ってたや………

 椿先輩顔立ち整ってるしなー。


「椿は柔道段持ちでねー、当初は見た目よりいかにして暴走した時の睡蓮君を止められるかだったけど、睡蓮君と椿は一緒の道場にいたことがあって椿が実力が上だったから認められたんだよねー」

「でも遥斗様続けてたら私負けてた」

「まあ続かなかったんだし椿も会長になれてよかったじゃん」


 知らなかったなぁ、じゃあ他の会長さん達もそういうのあるのかな。


「呼ぶ必要無かったかなー」


「柘植先輩」

 後ろを振り向くと柘植先輩と志穂が立っていた。

 どうやら騒ぎが終わったの聞きつけたようだ。


「扉半開きにしてたから全部聞こえてた」

「え、そうだったんですか?」

「さっきはイラついてたけど、遥斗元に戻してくれたのに免じて許す」

「ありがとうございます」

 聞かれてたのか…偉そうに言ってたの聞かれてたの歳もあって結構恥ずかしいのだが……

「僕は許してないから!」

「ごめんって」


 とにかく一件落着!かな?




 昨日篠宮優美が階段で突き飛ばされたという噂は瞬く間に広がっていた。


 彼女の容態や生徒会の出し物についての不安の声と同じだけ、彼女の自作自演ではないかとの声が大きかった。

 女子生徒と篠宮優美が普段から親しくしていたという噂を流していたのも功を奏したようだ。


 生徒会側からは劇を予定通り行うとの通達しかなく、余計にそれが噂を加速させているようだ。


 このまま進めばいい。そうすれば……


「只今より、生徒会からの出し物を始めさせていただきます」


 そんなことを考えていると劇が始まったようだ。


「昔々あるところに1人の心優しい姫がおりました」


 そして、暗いステージが明るくなったところで会場がざわつき始めた。


 なぜならそのステージには篠宮優美がドレス姿でそこにいたからだ。


 皆誰もがヒロインは渡辺桃華だと思っていたし、それを信じて疑わなかった。


 なにより驚いたのは彼女の顔がいつもと全然違っていたことだ。

 10人女子生徒を集めれば1人はこんな顔をしてそうな地味で凡庸な顔。それが皆が抱く彼女のイメージで、だからこそ生徒会にいるには相応しくないと考えられてた。


 なのに今ステージにいるのは、面影は確かにそうだけれど、別人のように綺麗だった。

 これでヒロインに相応しくないと言う人は殆どいない。現に今ブーイングなど一つもなく皆食い入るように劇を見つめている。


 そのまま、彼女は階段から落ちたにも関わらず、そんな様子など一つも見せずに優雅に振舞っていた。


 階段から落ちたはずなのになんで平気そうに振舞ってるの


 まさか落ちてない


 いやそんなはずは、だって現にこの目であいつが落ちていくのを見てた


 しくじったって言うの、でもあいつが突き落とされたのは確か


 無傷?何にしろ許せない


 なんで平気な顔をしてそこにいるの


 そこに居ていい存在じゃない者がなんでいるの


 どうして


 なんで


「すみません」


 声を急にかけられてハッと横を向くと男子生徒が笑顔で立っていた。

 いや、笑顔じゃない。作り笑顔(・・・・)だ。

 しかも風紀委員長という肩書きを持つのがなぜ私に?


 すると、耳元まで顔を近づけられ、ぞくりとする声をかけられた。


「バレてないと思いましたか?」

「な、何のことですか?」

「貴女が黒幕ということですよ、村崎こゆりさん?」

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