文化祭まであと1日となりました。
「…これでよし、と」
劇のポスターを貼りおわったから、すぐ生徒会室に戻らなきゃ。
今はもう文化祭2日前となり、出し物の制作も大詰めになっていた。
勿論それにより生徒会も大忙しだ。来賓者との連絡だったり開会式閉会式の段取りだったり。いろいろしなければならない。
あの池ポチャ以来大きな事件はなく、まあ逆に池ポチャも進展なしだ。
「ポスターお疲れー」
「あ、金鳳君もお疲れ様」
戻る道中で職員室から戻る途中の金鳳君とも出くわしたので一緒に戻ることにした。
「そういえば篠宮さんのとこの出し物どんな感じー?」
「うーん、私は裏方で少ししか関わってないけど、でもいい感じには進んでるっぽいよ」
生徒会は劇や文化祭の運営だったりでクラスの出し物には参加する時間がないため、店員だったりの表では出ず、看板製作とかの裏方の比較的軽い仕事が回ってきている。
私は看板の下書きを手伝っただけだけど、部門ごとのリーダーさんたちが手際がよくて、なかなかなものが出来そうだった。
「そっちは?」
「なんていうか、3年の上の人達が上手く回せてなくて、どっちかというとうちの代で回してる感じで、まあそれが亀裂生んでて…」
「なるほど」
俺が参加すると余計に亀裂生むからなるべく来ないでって言われててー、と言っている金鳳君の様子にお疲れ様です…と声をかけた。
「まあでも、きっと大丈夫だとは思うんだけどね。生徒会の劇もまあうまくいきそうだし…」
結局リハーサルは無事に終了し、照明や場面転換も何も問題なかった。
ただ、リハーサル風景の写真に加え、あの私が怜様に手を取られ歩いているシーンも写真が撮られていたらしく、
「これは永久保存版だわ!!」
とキャーキャー言われてしまったのは誤算だった。
今すぐ廃棄したいんだが、でも怜様の写真なんて廃棄したらバチが当たりそう…てか私がいても怜様がいる時点で写真なんて破けないんだよなあ。
「きっと気持ちよく終われるよね、今回の文化祭」
「大丈夫だよきっと」
私の写真以外は、きっと...
そして、次の日。文化祭前日だ。
生徒会の仕事に参加する前の1時間ほどはクラスの方にいてもいいことになっているため、私は飾り付けの手伝いをしていた。
出し物はお化け屋敷で、お化け役の動きの確認だったり、外側の飾り付けを念入りにやっていた。
「あ、黒のインク足らないや。優美ちゃん、ついてきてもらってもいい?」
「いいよ、やることなかったし」
インクがきれてステージ組に聞きに行く志穂を連れ立って2人で行くことになった。
「結構順調?」
「うん!みんな手際がよくて助かってるよー」
「それはよかった!」
話に盛り上がっていて志穂が後ろに下がったのも気にせず階段を下りていたところ、残り5段のところで、ふわっと私の背中に志穂の手が当たった。
「え…」
その勢いのまま私の体が地面から離れていって…
そこにはちょうど階段を上っていた睡蓮君がいた。
「あ…やばい…」
やばい、ぶつかると思った矢先睡蓮君は顔を豹変させたかと思うと2段上って私を抱きとめたあと、その勢いのまま後ろにいる志穂の方へ向かって行った。
「あ…」
「てめえ…俺の仲間になにしやがんだああ゛??」
「その…」
「睡蓮君、やめて」
慌てて身を起こし、様子の変わった、志穂の胸倉を掴んでいる睡蓮君を制止させる。
「なんだと?」
「やめて、志穂が突き飛ばしたんじゃなく、私が勝手に階段から落ちただけだから」
「…は?」