表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
落ちこぼれに花束を。  作者: A.cat
一章:新たなる世界の幕開け。
4/9

Ⅰ、異世界転移というのは、どんな人物であっても、勇者のような気分にさせてしまう

新章突入です。

今までは森男くんの周りの状況についての視点が多かったと思いますが、

この章から森男くん視点に移ります。


彼の素顔を、とくと御覧ください。

 草原に、一人の少年が横たわっている。


「ん… んー えっと… ここは…」


 確か自分は学校にいたはずだ。

 それで… うまく思い出せない。


 身体に大リ◯グボール養成ギ◯スがつけられたような、そんな重さを感じる。


 「うあぁ っと、学校じゃない…」


 いつの間にこんな草原に来てしまったのか。

 僕は夢遊病なんて患っていない。いや、発症した?

 それにしても、こんな場所は知らない。


 「まぁ寝ててもしょうがない。とりあえず歩いてみるか」


 周りを見回してみると、近くに街道のようなものが見える。


 「あそこを辿ってみればどこかに着くだろう」


 森男は街道に向けて歩き出した。





   ◯     ◯






 街道沿いに歩いていると、向こう側から人が歩いてくる。森男は堪らず駆け寄った。




 しかしその姿を見て、驚愕する。


 鈍い光を放つ、全身を包むような鎧。その腰には、剣がぶら下げられている。


 他にも槍を持つものや身体のラインを微塵も見せないローブを着込んでいるものが目に入った。


 森男が固まっていると


「ん、あいつ」

「なんだ? …なんじゃありゃ!」

「変な服を… 着てますね」


 向こうが気づいて駆け寄ってくる。


「おまえこんなところで何してんだ? しかも一人で」

「え… えっと、僕もわからないんですけど…」

「わからない? 変なもんでも食ったか? それとも魔法か?」

「魔法?」


 唐突にその言葉は、目の前の男からさも当然の事のように発せられた。


「魔法だよ。さすがに魔法忘れちまうような魔法は、このローランドでもないぜ」

「ローランド…」

「おいおい…」


 全く話について行けない。次々と知らない単語が出てきて目眩を起こしそうだ。


「失礼ですが、もしかして異世界人の方?」

「え? 異世界?」

「ええ。 ここはローランド。ローランド皇国の首都周辺です」


 そんな国、地球にはない。たぶん。


「すいません。全くわかりません…」

「じゃあやっぱり異世界人だ」

「異世界人ねぇ。ハッキリ言って掛ける言葉が見つからねぇな」

「そうですね… と、とりあえずここを真っ直ぐ行くとローランドに行き着くので、そこで話を聞いてみるといいでしょう」


 まだ頭がうまく回らない。

 異世界… あの異世界?

 まぁとりあえず、動くか。


「はぁ… とりあえずありがとうございます」

「いやいや。 ガンバレよ」

「はい。では」



 謎の集団と別れ、再び僕は歩き出した。






   ◯     ◯






 目の前に高くそびえる城壁が見えてきた。太陽の光で輝くそれは、神々しさすら感じられる。


「ここがローランドか」

 


 ローランドに向けて歩いている内に、頭のもやもやが晴れてきた。


 この道中、拙い頭であれこれ考えてみた結果、

 とりあえずわかっているのは、僕が異世界に転移してしまったらしい、ということだ。

 そこで





 『森男による異世界とそこへの転移についての考察と現状』



①、魔法があるということは、魔王とか魔物だとかそういったものが蔓延っている。


 これはまだ未確認。もしかしたらさっきの謎の集団は、魔物の討伐に向かったのでは、とも推測できるが。




②、異世界転移といえば、この世界に召喚される、何らかの理由が存在すると考えるのが、『地球』での常識。しかもこういった場合、大体何か特別な力を手に入れ、チート性能を躊躇なく使い、勇者ごっこを始める。



「ってことは、僕も何か特別な力が?」


 いつもの見慣れた身体。

 何の変化もない。

 ん、ネックレスなんて掛けてたか?




「まぁいいや。そんなことよりも… んー」


 周りを見回してみる。


「美少女… なし」




③、これは異世界転移の目玉だ。これなしでは何も語れまい。


 特別な力が未覚醒、またはない場合、美少女が助けを求めているとか、ツンデレな美少女が助けてくれるとか、そういう謎の出会いが起こる可能性が極めて高い。謎というのは決して男ではないし、ブスでもない、美少女限定というところのことを指す。



 しかし、美少女はいないではないか。

 いや、これだけは諦めずに心に留めておく必要があるだろう。


 まだこちらに来たばかりだ。これからいくらでも謎の出会いをするチャンスはあるはず。待ってろよ、美少女!異性と縁がない俺のモブみたいな人生はここで終わりだ!




 ④、幼馴染、または気になっているクラスの可愛いあの子が一緒に飛んできている。


 これは元よりないな。

 可愛い幼馴染もいなければ、雅ちゃんもいない。




「んー まぁ今は情報を集めるのが先決か」


 考えれ考えるほど、異世界転移によって今までの自分ではなく、お決まりパターンによって美少女とラブコメが起こるという未来に、胸のドキドキが収まらない森男。


「ありがとう、転移!」


 思わず叫んでしまった。

 まさに、自分みたいのが異世界に転移するべきなのだろう。地球でもイケメンなのにこっちでもモテるなんてあってはならない。


「でも、さっきの人たちは気の毒そうにしてたけど… まぁモテすぎて困るとかそういう意味なんだろうな。全然問題ない!」


 逸る気持ちを抑え、冷静を装いながら歩き出した。





   ◯     ◯






 城門に辿り着いた森男は、意気揚々と街の中へ入っていく。




「ちょっと君! 待ちなさい!」

「え?」


 眩しい輝きを放つ鎧を着た、門衛と思われる人物に呼び止められた。


「君、どう見ても怪しいね」

「いや、普通だと思いますが…」

「どこが普通なんだ。その服、変態にしか見えない」

「えーーー!?」


 ざわざわと城門がにいた人たちが騒ぎ出す。


 森男は改めて自分の服装を確認する。



 緑色のジャージ。しかも胸の辺りにデカデカと『故運』と書かれている。


 星間高校は、かの有名な『ダサジャージ高校日本一決定戦』(これはまた別のお話。乞うご期待!)で、どの高校も寄せ付けない絶対王者。その異常なまでのダサさは、逆に芸術性を感じさせるほどだ。


 ……確かに、変態に見えなくもない…。


「とりあえずこっちに来なさい」

「ちょ! ちょっと待って下さいよ!僕は何も!」

「うるさい! 話は署で聞こう!」


 門衛に引きずられ、城門の横にある門衛詰所へと入っていく森男であった。






   ◯     ◯






 森男は今、薄暗く狭い部屋で取り調べを受けていた。


「で、貴様は何者だ」

「モリーオです」

「名前なんて聞いていない。何者だって聞いてんだよ!」


 バンッっと机を叩く刑事風のグラサンを掛けた人物。異世界の得体のしれない人間に、ビックビクの森男。


 とりあえず偉そうで危なそうな人にはへつらっておくべし、というのが今まで生きてきた、短い人生の教訓である。


「ひぃぃ… 異世界人ですぅぅ」

「異世界人!?」

「はひぃぃ…」


 思わず顔を歪ませるグラサン男。

 もう一度、森男を舐め回すように見る。


「何か変わったことは? 謎のアクセサリーをいつの間にか持ってたとか刻印が身体にあるとか… 」

「あぁ、それならこれが」


 いつの間にか首に掛かっていた『ネックレス』。


 さっきスルーしたが、もしかしたらこれが最強の魔力を秘めたネックレスなのではないか、と森男は踏んでいる。


 しかも門衛に捕まるというこの流れは、実はうちの王女様がお前を召喚したんだぜ!とかいって、いきなりラブコメが始まるパターンが十分に考えられる。というかこのルートで確定であろう。



「へぇー  ちょっと貸せ!」

「やめてぇぇ!」


 ネックレスが取られる。

 これでは力を示すことができなくなるではないか!


「っjshfはくfkじゃくうぇ」

「ん?」


 今まで普通に聞こえてた会話が聞き取れない。


「あのー 言葉が通じなくなったみたいなんですが… ちなみにそのグラサン似合ってないよオッサン」

「sだfhdjshjhづじぇf!?」


 向こうも気付いたのか、慌ててネックレスを返す。


「すまなかった。 もう行っていいぞ」

「え?」

「早くいけよ」

「………」

「連れ出せ!」


 両脇から掴まれ、無理やり立たされる。


「うわっ 僕の王女様はどこにいるんだよー!」

「てめぇの王女なんざ知るか!」

「隠してるな! 今に見てろよグラサン野郎!異世界人パワーでぶっ殺しゴフッ」


 腹を殴り、黙らせる門衛。

 呻きながら引き摺られていく森男。




 あのグラサン野郎から王女様を救うという、とってもとっても大きな目標が出来た森男であった。






まだ勢いで書いている状況なので、つなぎがおかしいかもしれません。


おかしいと感じたら、お近くの「感想を書く」アイコンまでお知らせください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ