第7話 罪
「ティーナ、どうしたの?」
「ルシアと話しがしたいと思って。駄目かな?」
「いいよ」
とルシアが返事をすると、
「よかった」
と、ティーナはにこっと笑ってベットに腰掛けた。
「ルシアって歳いくつ?」
「多分…15くらいかな?はっきりはわからないんだ」
「ええ!?15?もっと下かと思った」
ティーナは、ルシアの無邪気な笑顔と素直な言動から、もっと歳下だと思っていた。
「そう言われれば15に見えなくないわね」
「ティーナ、何か酷くない?」
と、ルシアは仏頂面になった。
「ごめん」
とティーナは笑って謝った。
「私は17よ。ルシアより2つ上ね」
「ルシアは、旅をしているんでしょ?何でこの町に来たの?」
ティーナは、次の質問をした。
「別に何処へ行くっていう当てはないんだ。たまたま通りかかった町に来て、困った人達を助けるんだよ」
「何でそんな事をするの?」
ルシアはティーナに背を向け、開けていた窓から夜空を見上げた。
昼の明るさを失った空には、闇に捕えられた光達が、必死に輝き続けていた。
「罪の償い」
とルシアは一言、呟くように言った。
「罪の…償い?」
「人を…殺したんだ。たくさんの人を。そして、名前がない俺に名前をつけて育ててくれた人を、一番大切な人を殺したんだ。この手で…。俺には、名前を持つ資格なんてなかったんだ」
と、ルシアは淋しく微笑した。
そこには、昼間の無邪気な笑顔を見せるルシアはいなかった。代わりに、悲しい影を背負った大人びた少年が立たずんでいた。
ティーナはこの時、ルシアのあの言葉の意味がわかった。
「だから、名前を名乗る時に一応って言ったのね。ごめんなさい、私、悪いこと聞いちゃったのね」
とティーナは、俯いた。
「ねぇ、ティーナ」
と、ルシアは明るい声で声をかけた。ティーナは、顔を上げた。
「俺がティーナを助けてあげる」
「え?」
ルシアの突然の言葉にティーナは、きょとんとしていた。
「俺が怪物を倒せば、ナイトの処に行かなくてすむだろ?」
「そうだけど…」