第4話 ルシアとティーナ
「わぁ、すごいなぁ」
と、少年はナイトの姿を尊敬の眼差しで見ていた。
「大丈夫かい?ティーナ」
ナイトは、少女に声をかけた。
「はい、ありがとうございます」
ティーナは礼を言っていたが、その表情は何故か明るいものではなかった。
「ティーナ、気をつけなさい。こんな奴とは二度と関わっちゃいけないよ」
と、ナイトは優しく言った。
「はい」
「僕はこれから用事があって、君を家まで送っていってあげらることができないけど、平気かい?」
ナイトは心配そうに、少女を見つめていた。
少女は、あまりナイトと目を合わせず、伏し目がちだった。
「平気です。ご迷惑おかけしました」
とティーナが言った後、ナイトはその場から去った。
「助けてもらったのに、あんまり嬉しそうじゃないね」
と少年は、ティーナに声をかけた。
「あなたは誰?」
見知らぬ少年にティーナは尋ねた。
見た目は普通の少年。旅の格好をしている。歳は、少し下のように感じた。
「俺の名前は、一応、ルシア」
「一応って?」
ティーナは、少年の名乗り方が気になった。
「気にしなくていいよ」
しかし、少年はにっこりと笑い、理由を聞かせてくれなかった。
「ねぇ、何で君は嬉しそうじゃないの?」
「助けてもらって嬉しいわよ。嬉しいことには嬉しいんだけど…」
と、ティーナは困った顔した。
「聞かせてよ。君の力になってあげられるかもしれないよ」
ティーナは、無邪気な笑顔を自分に向ける少年を見て、話してもいいだろうと思った。この少年に何か出来るとは期待していないが、町の者ではない彼なら、話してもいいと思ったのだ。
「あなたに言っても仕方ない事よ。私はね、町長の娘なの。最近、夜に現れる怪物に頭を悩ませていた父は、怪物を倒せる人を捜していたの。そして、ナイト様の名があがったのよ。ナイト様は、怪物退治をする専門の人なの。でも、報酬額が高くて…」