第25話 闇の契約
地面へともうすぐ着くというところで、ドランがやって来てルシアを受け止めた。
「ド…ラン…?」
ルシアは目を開け、ドランを見た。ドランの体はルシアと同じように焼け焦げていた。
「ルシア…大丈夫か?」
と、ドランは喘ぎながら言った。
「ドラン、ごめんね。俺のせいで…」
「なるほど、お前らは闇の契約を行ったのか。フン、弱い人間と契約を結ぶとは命知らずだな」
と、男は嘲笑した。
ドランは歯を食いしばり、男を鋭い瞳で睨みつけた。
「私を侮辱してもいいが、この子を侮辱するのは許さん!!」
「アハハハ」
ドランの言葉を聞いた男は、突然大笑いした。
「ドラゴンのくせに人間をかばうのか!面白い奴だ」
「人間をかばっているつもりはない!私は、ルシアだけだ!!」
「こんな奴をかばってどうする?こいつにどんな価値があるのだ?」
「ルシアは私が初めて信頼した人間の子供なのだ。そして、私はその信頼した人間を苦しめてしまった。だから、これは私の罪の償いであり、私はこの子を護り、運命を共に生きようと誓ったのだ」
「お前がどんな理由でそいつを護ろうとも、その傷ついた体でどうする気だ?このまま死ねばただの犬死に。滑稽だ。契約を結んだのは間違いじゃなかったのかね?」
「契約を結ばなければこの子は死んでいた!私には、この子を死なせる訳には行かなかったのだ」
「ドラン…」
ルシアは、力のない声でドランを呼んだ。
「ドラン、こいつの言う通りだよ。契約を…断とう。そうじゃないと、ドランが死んじゃうよ」
と、ルシアは涙を流しながら言った。
「ルシア…」
ドランはルシアを見つめた。傷だらけになりながらも、自分の事を思ってくれる人間を。