第24話 トモダチだから
「ギャァーッ」
ドラゴンは悲鳴を上げ、足をルシアから離した。
ルシアは痛む体をかばいながら起き上がり、自分の横に立っている者を見上げた。
布の中から、紅い瞳が覗いていた。
「ガイロ…?」
「ルシア…大丈夫カ?」
「どうしてここへ?抜け出して来たの?何で?」
「血ノニオイガシタ。ダカラココ来タ。ルシア、友達。友達、傷ツケタクナイ」
と、たどたどしい口調でガイロはルシアの質問に答えた。
「邪魔者がまた増えたか」
と男は言い、
「やれ」
と、ドラゴンに命令した。ドラゴンは口から青い炎を吹き出す。
「ガイロっ!逃げて!!」
体が上手く動かせないルシアは咄嗟に叫んだ。だがガイロはルシアに向かって微笑むと、青い炎に体を向け、手を広げた。
「ガイロ!!」
青い炎はガイロを包み込んだ。ガイロの体はたちまち氷漬けにされてしまった。
「馬鹿な奴だ」
と、男は笑った。
「せめてもの慰めだ。私がとどめをさしてやろう」
男はそう言うと、人差し指を頭上に掲げ、空中で円を描いた。
空が曇り、黒い雲から雷の唸る音が聞こえてきた。男は掲げていた手を目の前に振り下ろした。すると、一筋の稲妻が氷漬けにされているガイロの頭上に落ちた。
ガイロの体はルシアの目の前で、粉々に砕けた。
「ガイローっ!!」
ルシアは涙を流しながら、叫んだ。
「次はお前だ」
「よくもっ!」
ルシアの瞳は紅く染まり、男を睨みつけた。
ドラゴンは青い炎をルシアに向かって吹き付けた。ルシアはその炎を避け、腰につけていた短刀で男の首元を切り付けようとした。
だが男は避け、ルシアの顔面を手で押さえ付けた。男はニヤリと笑うと、ルシアの顔面を押さえている手から炎を出した。
「ア゛ァァァァァッ!!!」
ルシアの体は炎で包まれた。
男は手を離し、ルシアを地面へと落とした。ルシアの体は焼け焦げ、真っ逆さまに落ちていく。