第18話 檻の中の少年、ガイロ
「うん」
と、ルシアは笑顔で頷いた。それを見て女がホッとした表情を見せた時、女と同じ歳くらいの男がやって来た。
「あなた、この子に友達ができたのよ!」
と女は、男に嬉しそうに話した。
「そうか、良かったな」
と、女の夫らしい男はにっこりと笑った。
「君かい?友達っていうのは」
と男は、ルシアを見た。
「よろしく」
男は笑顔でそう言うと、上の階へと上がって行った。
「そういえば、あなたの名前、聞いていなかったわね」
「俺の名前は一応、ルシア」
「そう、ルシアね。ルシア、1つだけ守ってほしい事があるの。この地下室に私達の息子がいる事を内緒にしてほしいの。守れるかしら?」
女の言葉を不思議に思ったルシアは、
「何で内緒にしなきゃいけないの?」
と、尋ねた。その質問に女は答えにくそうだった。
「私達…怪物を飼っているって噂されてるの。この子、人を殺した事があるの。何人も。その時家に逃げ帰って来るこの子を見た人がいて、この噂が広まったのよ。でも、この子は怪物じゃない!!私達の息子よ!!」
女はそう言って叫ぶとうずくまり、泣き出してしまった。
ルシアはそっと女に近寄り、肩に手をかけた。
「この子の名前を教えて」
とルシアに言われ、女は顔を上げ、
「ガイロよ」
と、答えた。
「俺は、ルシア。よろしく、ガイロ」
「ル…シ…ア…?」
「今日から友達だよ」
「トモ…ダ…チ…?」
「ありがとう…ルシア」
と、女は涙を流したまま、ルシアに向かって微笑んだ。
地下室からルシアが上がって行くと、男が椅子に座って紅茶を飲んでいた。
ルシアが何も言わずに出て行こうとすると、男はルシアの背に向かって言った。
「あの子は、化け物だ。信じたくもないし、認めたくもないが、確かな現実なんだ」
ルシアは振り向き、男を見た。