表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RED DRAGON  作者: 紅玉
16/29

第15話 真実を知った今

その後、青年と子供がどうなったのかは誰も知りません。ただ、あのドラゴンの長の苦しくも悲しそうでもある鳴き声は、何処からか聞こえてくるそうです…』



 青年は読み終わり、本を閉じた。そして、隣にいるルシアにそっと手渡した。

「この話…」

ルシアはじっと本を見つめた。青年は立ち上がり、建物の入口へと向かった。

ルシアは

「はっ」として顔を上げ、

「待って!君の名前は?」

と、青年を引き止めた。何故かはわからないが、行ってほしくなかった。

青年は振り向き、

「アル」

と言って、微笑んだ。その瞬間、強い風が吹き、一瞬にして青年の姿は消えた。


 「どうしたルシア?」

うずくまって眠っていたドランは顔を上げ、やって来たルシアを見た。

「ドラン、俺、ある物語りを読んだんだ」

ドランは、ルシアがいつもと違う様子に気がついた。

「ドラゴンと人間は争ってたけど、契約をした事で争いが終わったんだ。でも、人間の悪い奴が契約を破っちゃうんだよ。それで、怒ったドラゴンは人間を喰い殺して苦しむ。契約を結んだ人も、家族を殺したドラゴンと悪い奴を殺すんだ。だけど、悪い奴は呪いをかけるんだよ」

と、ルシアは物語りの内容を話した。

「ねぇ、ドラン。その呪い、どういう呪いかわかる?」

と、ルシアは笑った。その笑顔は、悲しいものだった。

黙って聞いていたドランだが、ゆっくりと重たい口を開いた。

「…知っている。その呪いは、お前にかけられている呪いだ」

「ドランは昔、ドラゴンの長だったんでしょ?」

とルシアが尋ねると、

「そうだ」

と、いつもの落ち着いた声で答えた。

「お前にきちんと話すべきだったな」

「街の…子供達はどうしたの?」

「血を求め、殺戮を繰り返した。だから子供らの親は、自らの手で、自分の子供を殺した。そう…お前が今日来たこの街は、一度は滅びかけたのだ」

と、ドランは街の方を見つめながら言った。

「俺は…何で生きてるの?」

と、ルシアは俯いて言った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ