第14話 呪われし者達
契約
もしも、人間がドラゴンを殺した場合、その身が果てようとも、永久にこの地に囚われる。もしも、ドラゴンが人間を殺した場合、その身は人間の血の色に染まり、その色が消えぬまで、永遠に苦しみ続ける
でも、平和を良く思わない人間がいました。
男は強欲な人間で、ドラゴンの血を売りさばき、お金に代えていました。
そんな彼は、契約の事を知らない他の町の人々を唆し、ドラゴンを殺しに行きました。
平和がしばらく続き、それに慣れていたドラゴン達は、大勢の人間達の襲来に驚きました。不意を突かれドラゴン達は、次から次へと殺されていきました。
男はその光景を愉快そうに見ていました。
人間達の襲来に怒り狂ったドラゴンの長は、人間を喰い殺しました。
そんな事実を知った契約を交わした青年は、悲しみに陥りました。
そんな青年のもとへ、ドラゴンの長と同じように人間を喰らったドラゴンがやって来ました。
そして、青年が契約を交わした後に結婚した妻と子供達を三人喰らいました。青年はそのドラゴンを殺しました。
その時の青年の心は、怒りも悲しみも過ぎ去り、何も感じる事ができませんでした。そこへ助けを求めてやって来たのが、強欲な男でした。
青年はその強欲な男の心臓に剣を突き刺しました。
強欲な男は死ぬ間際に言いました。
"お前がこんな契約を結んだのが悪いのだ!平和など手に入れりゃしないんだ。お前の子供と平和を願った奴らの子供に呪いをかけてやる!!人間の血を求め、苦しむ呪いを。あのドラゴンと同じさ。ハッハッハッ…。”
青年は、慌てて家の中を見ました。
すると、四番目のまだ赤ん坊だった子供が布に包まれ、洋服棚の中に隠されていました。
青年は子供の呪いから先を案じて殺そうとしましたが、殺す事はできませんでした。青年は、その子供を抱き抱え、その地を去りました。