第9話 呪われた色
「邪魔をする気か?どうやら喰われたいようだな。ならば望みどうりにしてやろう!」
黒いドラゴンはルシアに向かって大きな口を開け、襲いかかって来た。それをルシアは、ひらりとかわした。
「身軽な奴だ。だが、次はそうはいかんぞ」
再び黒いドラゴンはルシアに襲いかかってきた。
「ルシア!!」
そこへ、ルシアが心配になって駆けつけたティーナが現れた。
「ティーナ?!」
ルシアが驚いてティーナを見た瞬間、黒いドラゴンは標的を変え、ティーナに襲いかかった。
「キャーッ!!」
「ティーナ!!」
ルシアはすぐさまティーナを庇って、目の前に出た。そして、首から提げている笛を吹いた。
「ん!?」
男が空を見上げると、紅いドラゴンが向かって来るのが見えた。
ドランは男と黒いドラゴンに向かって、炎を吹き出した。黒いドラゴンは、さっと炎をかわした。
「ルシア、大丈夫か?」
と、ドランはルシアのもとへと降りた。
「うん、平気」
と、ルシアは頷いた。
「ルシア…あなたって一体…」
ティーナはドランを見上げ、驚いていた。
「ほぅ、伝説の罪深き紅いドラゴンか」
男は笑いながら、ドランを眺めた。
「人を喰らい、契約を破ったその罪で、白いドラゴンから人間の血の色に染まった…」
「おい!!」
ルシアは呼ばれ、後ろを振り向いた。そこには、眠らせたはずのナイトが立っていた。
「よくも邪魔を!」
「来ちゃダメだ!!」
ルシアはとっさに叫んだが、目の前でナイトはぱくりと黒いドラゴンの口の中に入ってしまった。
「愚かな人間だ」
と、男は哀れんでいたが、口元にはうっすらと笑みを零していた。
「よくもっ!」
とルシアは、男を睨みつけた。その瞳は、紅く染まっていた。
それを見た男の顔は、険しくなった。
「お前はもしかして、呪われし子供」
ルシアは腰につけていた短刀を取り出すと、黒いドラゴン目掛けて飛びかかった。