第5話 技術革新の難しさ
前回のあらすじ
水車の設置に成功するマコト。水車の回転軸に発電機をつけ、異世界で初めて電気を作り出すという実験を開始した。しかし、その動きをみる怪しい影が……。
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「ふあぁ~。」
部屋であくびが漏れる。昨日遅くまで思案していたため、眠気が無くならない。
「とりあえず発電機の構築はできたのと、確実にこの世界でも発電はできることは分かった。ただ問題は、電気を通さない絶縁物がこの世界では見当たらないことだよな……。」
主に前世界では陶器や架橋ポリエチレン、ポリ塩化ビフェニル、ビニル絶縁、ゴム等が用いられていたが、そんなものはこの世界に来てから一度も見たことが無い。
「つまり、この世界における絶縁物、もしくは絶縁性の液体を探さないといけないな……。」
なかなか捜索は困難だ。まず、選択肢として浮かび上がったのはスライムゼリー。なんとなくプルプルしているため絶縁性がありそうだと思った。
「耐電圧試験の際に毎回コイルが焼損していては問題だよな……。」
どうしようか……。
「ねえ。」
「うおあっ!!」
変な声がでる。
「面白そうなことやってるじゃない。私もまぜなさいよ。」
「何だレナか。いきなり声かけないでくれよ。」
「そんなことはいいから。で?今何してるの?」
「今は電気っていうエネルギーといっても伝わらないか……力の一種を防ぐことのできるものを探しているんだ。」
「電気って?」
「うーん……。雷ってわかるか?」
「雷は分かるわよ。馬鹿にしないでよね!」
「そっか、そっか……え!?雷わかるの!?」
俺は一瞬でいい考えが浮かぶ。
「レナ!ちなみに雷を出す魔法とかって使えたり……?」
「使えるけど……。」
「ちなみに強さとか変える事できたり……?」
「するけど……。」
「レナ!協力してくれ!」
俺はレナの手を握り懇願する。
「えっ……いいけど……。」
何故か声が小さく返事が返ってくるが、千載一遇のチャンスだ。
早速俺とレナは実験場である水車付近へと来た。
「ここなら人が近づくこともない。レナ、このスライムゼリーに電気を伝えてくれ。」
「分かったわ。雷を落とせばいいのよね?」
「ああ、最初は弱めで、徐々に強くしていってくれ。」
「ええ。わかったわ。」
空気を貫通し地面へは到達していない。スライムゼリーは絶縁物なんだろう。ただ、耐圧がどのレベルなのかが分からない。この世界には電圧計や電流計は存在しない。たとえ存在していても高電圧・大電流であれば計器用変成器(変圧器とかと一緒で、大きな電圧を小さな電圧に変えて指示計器(電圧計)に入力するための機器)が必要になるが、これも作れていない。
「ありがとうレナ!とりあえずもう大丈夫だ!」
やっぱり電圧計や電流計が無いと不便だ……。
「鉄や、銅はあるけど抵抗がな~。まあとりあえず、電線路を作る事自体はできそうだな。」
「この電気?っていうのはどう使うのよ?何に使えるの?」
レナから言われてハッとした。確かにこの世界では電気を生んでも、電気を使うものが無い……。電球ですらフィラメントが現状作れないためどうしようもない……。しかも作った電気は交流でかつ周波数は不明、電圧は高電圧である。変圧器も作れない以上燃えておしまいだろう。
「……。」
レナからの質問に回答が出てこない。
「まあ、とりあえず今日は帰るわ……。」
「ああ、またな……。」
外には濃い雨雲、月は半分に欠け、うっすらと光を放つ。
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筆者の体調不良ににより、少しの間投稿をお休みしておりました。投稿再開しますので、今後ともよろしくお願いいたします




