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迷惑異世界のんびり道中記~ちびっ子勇者とともに~  作者: 沢野 りお
安住の地を求める勇者とぬいぐるみ

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勇者旅立 ⑤

シルビオさんの頭が痛いポーズに橘一家の冷や汗が止まらん。「ライゼ」のパーティーメンバー紹介の何が罠だったのかわからないけど、橘一家はやらかしてしまったみたいです。


「……俺たちは、普段はその素性を隠している。俺が竜人であることは薄々バレているが、カルラは猫獣人だと思われているし、オリビアは人族と主張しているんだ」


レオンさんは? 素朴な疑問が私の頭に浮かんできたが、シルビオさんに尋ねるのは憚られた。なんとなく橘一家はド偉い人に怒られている状態のような?


「竜人と出会うことは珍しい。そもそも竜人族の数が少ないし、俺たちは霊峰にある里からはほとんど出ない」


「れいほう……」


それって山ん中ってこと? 山育ちなのに私たちに世情を教えられるほど物知りだなんて、シルビオさんすごい!


「キッカはなんか……明後日の方向に思考が飛んでそうだな……。つまり、竜人と出会ったなら、もっと驚け。それと、エルフは気難しい。なぜか人族や小人族など弱い者には心魅かれるエルフもいるが、獣人族と婚姻することはほぼない」


「え?」


兄は無遠慮にカルラさんを見る。カルラさんはエルフとの混血でも、耳はネコ耳なので外見からはわからない。そのあとも、シルビオさんは魔族が人と婚姻することも稀だとか、精霊が人の前に姿を現すことなど奇跡に近いとかをネチネチ、あ、ちがう、懇切丁寧に教えてくれたのだった。


「……そのぅ、俺たちがシルビオさんたちのことに驚かなかったのが問題ですか?」


恐る恐る上目遣いにシルビオさんに質問した兄は、そのあとのシルビオさんの苦悶の表情に何も言えなくなる。


「リーダー。アオイたちに常識を教えんのムリだよ。いままでどおり田舎育ちで乗り切るしかないっしょ」


カルラさんは他人事だと思ってか、カラカラと軽く笑った。彼女の顔には「面倒くさい」と書いてある気がする。


「そうねぇ。もっと身近な話からしましょうよ。フュルト国のどこに行きたいとか、どうやってお金を稼ぐのか? とか」


オリビアさんの現実的な話の提案に、私と兄の顔を輝く。姉? あの人はエルフとか魔族とかファンタジーっぽい話に興味があると思う。姉は放っておくことにする。あっちの世界のときでもそうだったし。


「そ……そうだな。そもそも俺たちみたいな者に出会うことも少ないだろうし……」


シルビオさんはなんだかどっと疲れた顔で、むしゃりと串焼きした肉に噛みついた。

























「……俺たちに冒険者になれと?」


ズーンと落ち込む私と兄。小次郎は少し嬉しそうにも見えるし、姉は無責任にもワクワクしてどんな武器を持って防具をつけてと妄想している。姉のスキルはちょっとした傷を治すことができる程度の治癒魔法なのに。


「冒険者といっても、魔獣の討伐や護衛の依頼ばかりではない。無料で作れる身分証だと考えろ」


「無料?」


「冒険者ギルドに所属するとギルドカードを渡される。これが身分証となって、他の街や国に入るときに使えるんだ」


所謂、税金免除らしい。収入やそのほかの税は徴収されるらしいが、冒険者や貴族は入国出国、街の出入りの際にかかる税金は払わなくてもいいとか。それはいい情報!


「その代わり、冒険者として活動しないと、その資格を失う。市民登録をしていればいいが、冒険者の資格を失った途端、身分を証明するものがなくなり……下手をすると」


外国で資格喪失すると、その国から出れなくなるかもしれない、と。まぁ、身分証がなくなるわけだし。その、冒険者としての活動も、依頼を定期的に受けて達成すればいいとのこと。ランクが上がればその縛りもなくなるらしい。私たちは冒険者としては低ランクに留まるだろうから、しっかり活動しないと危ういってことね。


「でも、常設依頼の薬草採集とか、街の手伝いで街道清掃とか、孤児院の手伝いなんてものもあるから、なんとかなるよ。問題は……それらの依頼料は安いってことかな」


ハハハと笑うカルラさん。そっか……安いのか。子どものお駄賃程度なのか。それじゃあ、生活できませんけど? やっぱり、神様から貰ったあの大金貨を両替しなきゃ!


「冒険者はその家族や庇護している者を扶養として登録できる。冒険者以外でも家族カードが持てるから身分証にもなる」


「それはいいですね。じゃあ、俺が登録して桜たちを扶養……」


「もう一人ぐらい冒険者として登録しなさいよ。アオイが育ったところはどうだか知らないけど、サクラもキッカも一人立ちしててもおかしくない年齢よね?」


カルラさんの鋭い指摘に、黙る私たち。あっちの世界では大学生だったけど、こっちの世界では働いててもおかしくない私と、むしろ結婚して子どもを産んでてもおかしくない姉。私たちは互いの顔を見合わせ……好奇心丸出しの姉を抑えて私が兄と一緒に冒険者登録することにする。


「お姉ちゃんと小次郎はお兄ちゃんの扶養に」


「はいよ」


なんと、フュルト国に着いたら冒険者ギルドまで、「ライゼ」の皆さんが付き添ってくれることになりました! よかった……これで安心して冒険者登録できるわ。


「次にフュルト国のどこを拠点にするかの話だ」


ゴクリ。フュルト国に行くことしか考えてなかったから……ここからの情報は貴重だわ。


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