6話 レッツトレーニング
あれから一週間経った。
もうちゃんと1日起きていられるようになった。
なぜ最初眠ってしまっていたのかはわからない。
何もわからない。
実は1週間の間に3回ほど魔法陣の外に出た。
外に出たくて考えなしに出た訳ではない。
検証のためだ。
初めて魔法陣から出た時、「精霊召喚」スキルが成長した。
魔法陣から出ればスキルが成長するのではないか、と考えたのだ。
ワンチャンノーダメで外に出られたらなぁ、とも思ったが、案の定血を血を吐いて倒れた。
それが3回。累計4回死にかけたことで、スキルはこうなった。
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岡島賢一(17)
スキル
精霊召喚
火精召喚<2>
水精召喚
風精召喚<2>
土精召喚<5>
光精召喚<3>
闇精召喚<3>
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ちゃんと成長してくれて何よりだ。
死にかけた甲斐がある。
注目すべきは土精召喚の成長度である。
水精召喚が全く成長していないのに比べて大躍進だ。
前世農家とかじゃないんだが。
結論として、魔法陣の外に出ればスキルはなんか成長する。
意味わからん。
この世界における正規の成長方法があるのかもしれないが、ゲームのバグ技、裏技も仕様として有効利用するタイプの人間だからガンガン使わせてもらおう。
めっちゃ痛いし苦しいが、今のところ死んでいないからな。ガハハ。
笑い事じゃないが、正規の訓練手段っぽい精霊召喚を地道に繰り返す方法では3日かけても数字が上がらなかったので諦めたのだ。
早くここから出るためにスキルを成長させるしかない俺としては、多少の苦しみは許容するしかない。
土精召喚<5>になった土精の最大サイズは、意外にもソフトボール大で据え置きだった。
だが、できることは増えている。
俺の体を支えられる程度には頑丈な岩を生み出し、精密動作性も上がっている。
火精、風精は取り立てて語ることもない。順当に出力が上がった感じだ。
ようやく生活魔法を脱出できるかできないかくらい。
光精は<3>になったことで「あれっ、なんか傷の治りが早い、か?」程度の治癒能力を手に入れた。
3の割には大分しょぼい。
3段階目の治癒魔法って聞くと切り傷くらいなら塞がるレベルを期待していたんだが。今後に期待。
闇精は今のところ重力魔法として有用だ。
ずっと体を浮かせ続けることはできないが、ちょっとした移動ならもう可能だ。
おかげで寝たきり状態を抜けられた。
ああ、最後に。
精霊に心はやはりない。
そろそろ孤独感が出てきた。