5話 生きてる
目が覚めた。
体は動かない。
仰向けである。
「ゴホッ」
喉に溜まっていた何かのせいで咳き込む。
「ゴッホゴホッ」
こういう反射的な行動はできてよかった。
危うく窒息するところだった。
......鉄臭いな。
口周りが血で塗れている気がする。
......口周りだけじゃないな。
この肌の感覚的に胸から腹まで血でべったりな気がする。気持ち悪い。
時間がどれくらい経ったのかわからないが、もう体は大丈夫なようだ。
首を何とか動かして右腕に目をやると、内出血がひどい。本当に体の内側から爆発したような感じだ。
大分痛いが、悪化していってる感じでもない。
放置して良いかはわからないが、緊急性はないだろう。
優先度が高いのは血の方だ。衛生的にやばい。
血は栄養豊富だから細菌とかが繁殖してしまうと聞いた記憶がある。
今こそ水精、火精、風精による洗濯乾燥を行うときだ。
いくぜ、トライアタック。
だがその前に、確認しなければならないことがある。
視線を頭上に戻すと、黄色く光るソフトボールが浮いていた。
おそらく俺を魔法陣の中に運んだやつだ。
......確認しよう。
(ステータス)
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岡島賢一(17)
スキル
精霊召喚
火精召喚
水精召喚
風精召喚
土精召喚<2>
光精召喚
闇精召喚
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なんか増えてる......。
種類が増えたのは一旦置いておいて、数字に目をやる。
精霊がレベルアップしたのか?
土精たちを視界に集めると、大きいのは5体だけのようだ。
全部がレベルアップした訳ではないのか。
いや、大きさの違う土精も呼び出せるようになった感じだ。
小さいのも大きいのも自由に呼び出せる。
上限が上がった感じかな。
出力は結構上がってる気がする。
デカ精霊5体でチビ精霊40体分の仕事は余裕でできる。
......やっぱり鉄臭いな。
一旦体を洗おう。
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精霊による洗濯乾燥は割とうまくいった。
闇精が体をほんの少し浮かせられたので土精でごろごろひっくり返さなくとも背中側までしっかり洗えたのだ。
闇精は重力関係?
イメージとしてはそんなに違和感ないが、デバフ系統ではないのだろうか。
これからに期待か。
光精はただの光源っぽい。
治癒能力は今の所感じられないが、念の為内出血のひどい腕などを照らさせている。
気休め程度にはなるかな。
よし、反省会だ。
俺はどうやら魔法陣から出たら第ダメージを喰らうらしい。
仕組みが何もわからないが、魔法陣の中にいる間は安全っぽい。
その分体は動かなくなるが、命大事に、だ。
では魔法陣の中にずっといるか、というとそれはできない。
なぜか今の所お腹は空かないし、トイレも必要ないが、ずっとそうかはわからない。
一人でずっとこんなところにいたら頭がおかしくなる。
何とか外に出る方法を考えなければ。