3話 トイレ事情
あれから何度か眠り、日差しと体感的には3日経った。
いまだに体は動かない。だが、起きていられる時間は少しずつ伸びてきている。
世界に体が適応し始めているということだろうか。
この世界に俺を連れてきた神様がいるなら、もっとサクッと適応させてほしいものである。
今は「精霊召喚」スキルを触るしか、できることがない。
というか、これで今の状況を打開できないと詰んでしまう。
「精霊召喚」について追加で分かったことは、まず、召喚可能数だ。
こいつらに個体という概念がないのか、複数召喚できる。
何匹の方が正しいのかもしれないが、日本語の細かい規則は知らない。そもそも日本語に精霊の数え方なんてルールないんじゃないだろうか。
そもそも精霊を神と同一視するなら何柱の方が正しいわけで......。
話がそれた。
これからは何体、で統一してしまおう。
水精を20体召喚した時点で寒気がして中断したが、スキル的な限界という感じではない。
あるかわからないし感じ取れもしないが、魔力の限界的なものだと推測している。
召喚に魔力を使うタイプじゃなく、召喚を維持するのに魔力を使うタイプだろう。
俺の魔力回復速度と釣り合うのが水精20体ということだ。
土精は40体を超えてもまだいけそうだったので、召喚には相性もあるのかもしれない。
次に、精霊自体のことだ。
やはり精霊は心を持たない存在のようだ。
こちらの命令は伝わるが何も返ってこないし、命令しなければ同じ場所に静止し続ける。
消えろと思えば消えるが、記憶は引き継いでいるのかどうかもわからない。
そもそも、俺は普通に精霊を視認できているが、これは「精霊召喚」スキルを持っているからなのか、誰でも見えるものなのか。
そもそも精霊はこの世界に普通に存在するのか。別のどこかからやってくるのか。
こういった疑問は、この世界の人間に会って見ないことには何とも言えない。
困ったことだ。
ワンチャンこの世界に人間は俺だけの可能性も......。
いやそれはないか。
万神殿は人が作ったものだろう。
神の作りたもうた完全性、みたいなものはこの神殿には感じない。
そのうち誰か来ると信じたい。
さて、精霊の扱いにも慣れてきたので、それぞれの役割を整理してみる。
風や火は温度調節くらいにしか使えない出力だが、建物自体がかなり適温なので使い道がない。
水は、現状飲み水くらいにしか使い道がないが、生きる上で水は何よりも重要であるから大変助かる。
汚い話になるが、何も食べていないからなのか胃腸が弱っているのか、大も小もでない。
動けない中でトイレ事情に悩まされていたら、水精の有用度はぶっちぎりだったといっていいだろう。
精霊に心がないことを神に感謝していたことだろう。
土については、この後の実験次第である。