1話 俺の体が動かない
初めまして
目が覚めた。
何か夢を見ていたような気がするが、いまいち覚えていない。
あれ……?
体が動かない。
…………。
しばらく体に力を入れようとしていたが、力が入らない。
力が体に伝わっていない感じだ。
温泉でのぼせた時の体のだるさを5倍にしたような感じだ。
参ったなぁ。
目は開く。
だが、首を動かせないから周りの状況がわからない。
今目に映るのは自分の手のひらくらいだ。
体の感覚的には胎児のように体を丸めている、のか?
よくわからない。
というか地面が硬い。白い大理石に寝かされているような印象だ。
……。
やはり状況がわからない。
ここに来るまでの流れを思い出そう。
まずは……。
なんだかひどく眠い。
起きていられない。
…………。
…………。
…………。
眠っていたようだ。
相変わらず体は動かない。
体だけでなく頭も鈍い気がする。
すぐ眠くなってしまう。
…………。
…………。
……
いかんいかん。
また眠ってしまう前に考えないといけないことがある。
なんでこうなった。
うーん。
こうなる前に何か物凄い痛みを感じた記憶はあるが、それが夢の中の記憶か、現実のことかよくわからない。
あれ、というか今のこの状況は夢の中なのか。
そんなことはないか。肌から感じる石の冷たさは現実であることを伝えてくる。
うーーーん。
あ、そうだ。トラックに轢かれたんだ。
塾の帰りに横断歩道を渡っていてトラックが突っ込んできて……、ということは死んだのか。
じゃあここは天国か?いや、地獄の可能性もなくもない。
天国確定の善人だとは流石に言えないし、何よりこんな放置プレイが天国のわけはない。
しかし地獄にいくほど悪いことはしていないしなぁ。
普通の高校生だ。
どこにでもいる程度にオンリーワンな男である。
では、ここは現実か。
もしや、異世界転移?
病院じゃないから、まだ生きている線は薄い。
地球に生まれ変わるにしては体がもとと変わらなすぎる。薬指の爪の形は、俺が俺であることを如実に示している。
実は生きていて、暗黒金持ちの道楽に巻き込まれている可能性は、怖いから考えないことにする。
異世界も異世界で怖いだろうが、陰謀に巻き込まれている系の漫画は得意じゃないんだよなぁ。暗黒金持ちって基本倒せない敵じゃん?
対戦相手と蹴落としあったり、殺し合ったりするけど、暗黒金持ちのフィールドから逃れられる訳ではないから恐怖しかない。
自分が巻き込まれていたら、と考えるだけ恐怖だ。そんな悪い想像はやめておこう。
閑話休題。
異世界的なサムシングにいるのなら、試すべきことがあるだろう。
色々はっきりするはずだ。
ステータス。
唱えようとしたが口が動かない。
口で言わないと出ないタイプなら詰んでるんだが......。
心の中で念じてみよう。
頼む。出てくれ。
(ステータス)
目の前に半透明のプレートのようなものが現れた。
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岡島賢一(16)
スキル
精霊召喚
--水精召喚
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簡素だな。レベルとか、vitとか、魔力とか、なんかそんな感じのやつはない。
あってもよくわからないが。
しかしこれで異世界説はほぼ確定か。
俺の頭がおかしくなってる可能性はまだあるが、それは考える無駄だ。
精霊召喚。どう使うんだ。
とりあえず唱えてみるか。もちろん心の中でだが。
(水精召喚)
すると、水色の球体が1つ現れた。
ほんのり、うっすら光っている。
妖精さんって感じじゃない。球だ。電球だ。
意思は……なさそうだな。
心で語りかけても何も反応しない。
動きに生き物らしい思考も感じない。
この状態で話しかけてくる鬱陶しいのが出なくてよかったと考えるべきか。
動けないから反抗できないし。
.............。
あ、まずい。寝そう。
.............。
.............。
.............。