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ジュド・ロックナーの恋愛事情ー2

 クオラソムプ伯爵家。

 そこで行われる夜会。晩餐会というより、舞踏会に近いものが行われるとか。


 お気軽にご参加してください、なんて言われたが。

 どう考えても、見合い、顔合わせ。


 自分で相手を選ぶ! なんてでかい口をたたいたら、じゃあってことでこんな会を催されたわけだ。

 ここにやってくるご令嬢から選べってことだろう。


「はああああああ」

「ため息がでかすぎます」

 つい口から洩れるため息にステファンが渋い声を出す。


 夜会ということで、侯爵家の息子やら伯爵家の息子やら、小さい頃から見知った顔も多い。


「ジュド」

 声をかけてきたのは外務大臣の息子、ラルフ・ヴァルトマンだ。


「今日はジュドの見合いみたいなもんなんだって?」

「いや」

 言い淀んでいると、

「俺らは当て馬みたいなもんだが、まだお相手のいない連中は意気込んで参加してるぞ」

 そう言うラルフは、小さい頃からの幼馴染と既に結婚している。今日も奥様と一緒に参加しているらしい。


 そこに、メリガレット嬢の父親が挨拶にやってきた。

「今日はお越しいただいてありがとうございます。娘のことは既にお見知りおきだとは存じますが」

 以前、俺の相手として色んな家から申し出があった。そのときにも筆頭にいたのはメリガレット嬢だ。


「ええ」

 と返す俺に、

「先日のお話は色々と混み合ったご事情があったと聞きました。そのおかげでディーン様もお戻りになれたとか」

 以前、ミーガンを偽婚約者として表に出して何とかその場をしのごうとした。だが、いまや、ミーガンは王太子妃候補筆頭だ。

 色々とあったことは確かだが、深い話は一部の人間しか知らない。


「今回は仕切り直しと申しますか、新たなお気持ちでぜひ娘とも一曲踊ってやってもらえませんか」

「それは、もちろん」

 さすがに断るわけにはいかない。メリガレット嬢の父親は、財務大臣のレラの父親のもとで仕事をしている。


 後ろを振り返る父親「おや?」ときょろきょろ。

「あんなとこに」

 あのメリガレット嬢なら父親の後ろにくっついていそうな気がしたが、見ると奥の壁にもたれかかるように立っている。


「すみません、すぐに呼んでまいります」

「あ、いや大丈夫、自分が行きますから」

 たいしたことはいったつもりはなかったか父親は「おうっ」と小声で反応すると顔を蒸気させ鼻の穴を膨らませた。


 期待もたせることを言ったかな。

 まずいまずい。


 まあ、あとから他のご令嬢とも踊るんだし大丈夫だろ。

 と、思いつつメリガレット嬢の近くまで行くと、他の男がメリガレット嬢の前に立つ。


 あれは。


 クルエット伯爵家の長男、アンドリューズだ。


「悪いね。メリガレット嬢は俺と踊るつもりでここにいるんだから」

 すっと手を伸ばすアンドリューズ。

 俺の目の前で他の男、アンドリューズの手に自分の手を重ねるメリガレット。


 ?


 どういうこと?


 アンドリューズが手を引き、ダンスの輪の中に進む2人。


「あちゃー。振られたの?」

 振り返るとラルフと奥様のアリッサが眉を下げこちらを見ている。さも同情的な目だ。


 いやいやいやいや。

 俺、そういうつもりでここには来てないですから。


「ラルフ、奥様をお借りするよ」

「あん?」


「わたくしでいいんですか?」

 わーわー言うラルフを置いて、アリッサの手を引いてダンスの輪に入っていった。


 アンドリューズのにやにや顔とメリガレットの背中が見える。


 奥様方の落ち着いたドレスとは違い、お嬢様がたのドレスはリボンやフリルがあしらわれてかわいさを強調している。メリガレット嬢のドレスもウエストから裾に向けて丸みを帯びて広がっていて、ピンクの飾りリボンがいくつもついている。袖もふんわりとさせているので、奥方が着ているものよりボリュームがある。


「ジュド様」

「え? あ、何でしょう、ヴァルトマン夫人」 

「その呼び名はいまだに慣れませんわね」

 ラルフの奥様はクスクスと笑う。


「小さなころから知っていますものね、変な感じですわ」

「そうですね」


 貴族には貴族の通う学校があるが家庭教師だけで数人で学ぶこともある。

 俺やディーン、デヴィッド、王家の子供たちは家庭教師もついたが、学校にも何年か通った。

 そこで一緒になったのがラルフだ。そこからラルフの婚約者であるアリッサとも親しくなった。


「メリガレット様、気になりますわね」

「はい?」


 いや、そんなことはありません、と言いたかったが、アリッサは眉根を寄せると、

「アンドリューズ様はよくありませんはね」

 と一言。

 なかなかに手厳しいが、その意見には俺も賛成だ。


 アンドリューズ・クルエット。


 ラルフとも同じだが、こいつも同じ学校に通っていた。


 そのころから何かとこっちをライバル視というか、やたら競いたがって来た野郎だ。

 しかも、多くの女性と浮名を流しているが、これは俺たちや一部の人間しか知らない。たぶん、父親のクルエット伯爵も耳には入ってきているはずだが、うまくごまかされているのかもしれない。


 メリガレット嬢の耳元に顔を近づけ何か囁いているようだが。お嬢様育ちには刺激が強すぎるんじゃないだろうか。


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