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行方不明の王子と婚約者探しの王子

 真剣な顔をしたレラは、

「ミーガンさん、お茶会のときに連れ去られたんでしょう? ごめんなさい。そんなことになっていたなんて知らなくて。姿が見えないから他の方に聞いたら誰もわからないって言うし。そしたらメイドのひとりがご用事で帰られましたって」

「メイドさんが?」

 レラは「ええ、でも」と口の端を曲げた。

「ミーガンさんが大変な目にあったってお話をロックナー様から聞いて、そのメイドにもう一度聞いたら何のことかわからないみたいで。まったく覚えていないんですよ」

 覚えてない。そんなことがあるだろうか。


「あれ?」

 ふと変な感じにとらわれる。レラが私を見やると、

「ね、変でしょう? 狙われたのは私ではなくミーガンさんなんですよ」

 レラの言うこともわかる。私が連れ去られたのをごまかすためにメイドは私が帰ったなんて言ったってことなんだろうか。


 レラは前のめり気味に、

「だから危ないのはミーガンさんです! うちの兵を置いていきます!」

「いやいや、それはさすがに」

 置いていきます、いやいらないから、と言い合ってるとガランガランと激しい音がしてフェリシアが飛び込んできた。


「デヴィッド様が!」

 あわてて水をいれたコップをフェリシアに渡すとごくごくと一息で飲み干した。


「はあ、疲れた。ところで外の罠と騎士たちは何? 私、馬を木につなげようとしたら、そこは危ないですって兵の一人が飛び出してきて何かに引っかかって転んじゃって」

 罠に用心するようにと飛び出したのに逆に罠にかかってしまったらしい。怖い人が狙ってくるなら隠れつつ来るだろうと、人が通る道は避けて木々の間に罠を仕掛けておいたのだが。


「ごめんなさい、レラ様。衛兵さんたちにお詫びを。もしお怪我をしていたら」

「大丈夫です。強い人揃いですから」

 とレラはにっこり。目をくるりと動かしたフェリシアは「さすが屈強ぞろいね」と納得顔だ。レラはそんなフェリシアに顔を向けると、

「それよりデヴィッド様がどうかされたんですの?」


 フェリシアは、ハッとすると、

「そうよ! デヴィッド様がいなくなったって」

「いなくなった!?」

「どういうことですか。連れ去られたんですか?」

 レラがこちらをちらり。実際、私とジュドは連れ去られたが、デヴィッドも、となると意味が分からない。


「いなくなったって家出とか?」

 まさかとは思うが、実際ジュドは家出していたようなもんで、グレンと名乗って町にいたのだから。

「それがよくわからなくて」

 フェリシアは首を傾げた。


「公爵夫人のお使いが来て、デヴィッド様がいらしてないかって」

 フェリシアの叔母がその使いとこそこそと話しているのを隠れて聞いたらしい。


 デヴィッドは朝から姿が見えず、どこかに出かけたのかと思ったが、メイドも誰もデヴィッドの居所を知らなかった。とにかく行方がわからないというのだ。


「図書館とかお外の自然の中がお好きなようですけど、そういうとこは?」

 レラが心配そうに眉を下げる。フェリシアも、

「そういうところはまっさきに探したみたい。第一、お供を連れずには行動しないでしょうしね」


 フェリシアはふらふらと一人行動しがちだが。ついそんな顔して見てしまっていたのか、フェリシアは、

「私は町に出る用があったんです。それに今日は馬で来てるし」

 と鼻を鳴らした。

 お嬢様が馬を駆って行動するのはいかがなものかと思うが。


 すると、レラが

「ご本を運んだのですか?」

 と言い出した。フェリシアも「ええ」と答えると、

「レラ様、先日はありがとうございました。綺麗なご本で子どもたちがすごく喜んでたんですよ」

「よかったわ」

 と嬉しそうに微笑むレラ。


 話が分からず顔を交互に向けていた私にレラが、

「フェリシアさま、すごいんてすよお家で捨てるようなご本を町に運んで女の子や子供たちが読めるようにされたんですよ。私もご協力したくて、お友達にも話して皆さんのお家で不要のご本をいただいて運ぶようにしているんです」

 そんなことを始めているとは知らなかった。


 フェリシアは、

「レラ様が私の話をきちんと聞いて理解してくださったから。ミーガンさんも、女の子や子供たちが読むように本を置く場所を作ったから行ってみて」

 と言うとレラに顔を向け、

「レラ様ありがとう。本当に助かってます」


「場所はどうされました?」

「それがね」

 と2人で話し込みはじめた。


 きれいな2人が談笑している姿は絵になるなあ。


 思わずにやついて2人を見ていたらしい。

「ミーガンさん、お顔が」「気持ち悪いわよ」「にゃあああ」

 2人とクロに呆れられ、きなこを抱えると嫌がって逃げられた。

「あら、かわいい」

「もう一匹増えたの?」

 きなこは逃げたまま、壁の向こうからこちらをうかがっている。


 咳払いした私は、

「すみませんね。ところで、ジュドさまが王太子になるって本当なんですか?」

 ローラには他言無用と言われたが、この2人なら既に話を聞いているだろう。


 2人はお互いにちらちらと顔をうかがっていたが、

「ミーガンさんだから言うけど本当よ」

「もうこんなところまで知られているんですのね。まだ公式には発表されていないはずですが」

 フェリシアもレラも何だか微妙な顔してる。


「あの、もしかして、ジュド様から王太子妃候補についてのお話があったとか」

 またもや2人して視線をそらしてる。目が泳いで怪しすぎるんですけど。

「以前、お互いに王太子が選ばれた方を尊重するって話されてましたよね」

 デヴィッドの時にそんなふうに言い合っていた。それもここで。

 ジュドのことだからフェリシアに話をもっていったんじゃないかなと思うのだが。


「私、お断りしたんです」

 いきなりレラが言い切った。

「え?」「へ?」

 私とフェリシアは口をあんぐり開けてレラを見つめてた。

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