Episode 3
新入りのその後、飼い主に与えられた試練の続きを語る前に、少し時間を巻き戻したいと思う。
新入りを迎える以前とだけで、いつだったかはもう覚えていないのだが、ある時、Pippoが謎の行動をしていることに気づいた。
カゴの角に張り付き、頭を壁面につけてなにやら頑張ってる風。
「頭が痒いから?」と、少し離れた所から飼い主は見守っていたのだが、それにしては見ているこちらも「うぬぬ~、ぐぬぅ~……」と力が入ってくるような頑張り様。
間もなく今度はヒュイヒュイピュイピュイ……というような声を出しながら尾を振り始めた。
???な飼い主が近づいていくと、やめた。壁面の角に捕まったまま、期待に満ちた眼差しで飼い主を見つめてくる。
期待の眼差しが「出してもらえるかも!」という期待だというくらいはすぐにわかったが、その前の力を入れた頭の壁面へのこすりつけと尾っぽフリフリが意味不明。
餌が切り替わり、止り木で寝るようになってからの放鳥は、一番ルーチンにしやすい、毎夜、飼い主が夕食を食べてシンクを片付けた後と決めていた*から、心を鬼にして期待の眼差しは無視し、飼い主はカゴから離れてやっていた作業を再開した。
(あ、もちろん、急にカゴから出さないようにしたのではなく、徐々に放鳥時間を減らし、後にルーチンとなる夜だけにしていったと思います。Pippoの時のその辺のことはもうあまり覚えてないんだけども……)
近づくとやめるので、詳細がわからずにいたのだが、数日後、母が懺悔の電話をよこした。
当時、飼い主は一人暮らしで働いていたのだけれども、実家が片道一時間かからないところにあり、困ったことに母は私が住んでいるマンションの近くにある病院(複数)に通っていたものだから、時々、いつの間にか昼間に入り込んでは「いらんこと」=「余計なこと」、「やってもらわなくていいどころか、しないで欲しいこと」をしていたのだ。(例:予告なしに実家の残り物を持ってきて、私の買い物と重なり、処理に困るという大変ありがた迷惑な親心の発揮)
そして、今回やってくれた「いらんこと」とは……
母(一応自称「動物好き」)はPippoをカゴから出して暫く遊んだらしい。(そういう言い方はしなかったけれども)
そうしてカゴに戻したつもりが、ふと見たら、Pippoはお気に入りの場所(当時キッチンに吊るしていたペンダントライトの傘の上)で寛いでいたそうな。慌ててカゴに戻し、今度はしっかり扉を閉めたという……
その懺悔ですべての謎が解けた。
Pippoが最初に過ごしたカゴは手乗り用とされる、大きな扉が下開きで開くタイプのカゴ。その扉の開く位置がまさにPippoが頭をこすりつけていた場所なのだ。
おそらくあの位置にPippoが飛び付いたか登ったかしたら、母がちゃんとフック(のような物)をかけていなかったがために、扉がパカーンと開いたのだろう。
「やったー!!!」と、喜び勇んで外へ出た様子が飼い主にはリアルに想像できた。
ほんっっとに「いらんこと」してくれた母である。(実は他にもPippoに「いらんこと」してくれたのだが、それは伏せておくことにする)
そう、Pippoのあの行動は……
Pippoとしては、扉を開けようと、必死に頭で扉を押し、それでも開かないから、次に尾を振って(正確にはお尻を振ることで)カゴを揺すっていたのである。
でもね、今いるカゴの扉はそこじゃないんだよ、Pippo……
全くの偶然なのだが、Pippoのカゴは母がやって来た翌日か翌々日くらいに手乗り用から35角(約40cm四方の出入口が正面の真ん中にあるポピュラータイプ)に変わっていたのだ。(大柄なPippoには早くもその手乗りカゴが手狭に見えたので)
前のカゴのままだったら、飼い主ももっと早く何をしようとしているか、ピンときたかもしれない。(あくまでも「かもしれない」)
ともかく、それはそれとして(?)、Pippoの気持ちがわからないではない。
前のカゴの大きめの扉が下開きに開いたのは、Pippoにしてみたら、壁面が倒れたという印象だったことだろう……(願望的解釈?)
(その後、飼い主が近くに行ってもやり続けたことがあったため、必死に頭で壁面を押している所と尾を振っている所の写真を撮ることができました。……が、写真を探すのが今となっては大変なので、証拠写真の公開は保留とさせていただきます)
新入りの差し餌時にはカゴにカバーをかけていたことをEpisode 2で記したが、後半にはヒュイヒュイピュイピュイというような声が聞こえていたので、「出してくれないんだったら、自分で出るもん!」と尾を振ってカゴを揺すっていたと思われる。
暫くの間、そんな間違ったことに全力を傾けていたPippoだったが、そのうちやらなくなった。
飼い主は「成鳥になってきたんだなぁ~」と思ったとさ。
さて、このエピソードに頭●いんだなとセキセイインコをナめた人がいたならば、後々出てくるエピソードにその感想を改めることになる。たぶん……おそらく……いや、きっと。
続く(たぶん)
* 冷静に己の生活パターンとセキセイインコの平均寿命と言われている7~8年飼う=一緒に暮らすことを考えて決めた放鳥ルールでしたが、少なくとも我が家には正しい選択だったと思います。小鳥に限らず、これからペットを迎えようと思っている方には、長く守ることのできる、個々のケースに合った無理のないルールを作ってもらいたいと思います。そして決めたルールは双方が守らないと意味がない。飼い主が気まぐれに変えてはいけないと思います。コレに関するプチエピソードは後日投稿のEpisodeで……(たぶん)。
◆追記:セキセイインコの平均寿命について
長らく7~8年と言われてきましたが、ペレットや与える副食の増加といった栄養面の向上で、最近は10年前後に延びているのではないかと思います。少し前に13歳まで生きたという某所でのツブヤキを見かけましたし、この前まで当方が飼っていたコは、15歳と約6ヶ月で老衰により昇天しました。ちなみに最長寿記録は18年だそうです。人間と同じで、中年頃から病気(特に癌)にかかりやすくなり、そうしたコの寿命は7年前後ですが、大病にかからない丈夫なコは軽く10年以上生きるということですね。




