3-9 難易度、エベレスト級
妖怪養成課程、終了。最終試験に挑む。
筆記試験は、マークシート。選択肢、十。制限時間、三時間。多くない? 結果は午後、発表。結果は・・・・・・。
やったぁ、合格!
「カノンちゃん、恵さん、令子さん。合格、おめでとう。」
「キララちゃん、マリンちゃん。ありがとう。」
・・・・・・あれ?
「私たち、ダメだった。」
ニッコリ笑って、マリンちゃん。
「けどさ。裁判で転生、勝ち取るよ。」
ガッツポーズで、キララちゃん。
「実技試験、頑張って。」
「メッチャ応援する。」
ピンポンパンポォンッ。
「合格者は、受験票を持って、校庭に、集まってください。繰り返します。合格者は、受験票を持って、校庭に、集まってください。」
ピンポンパンポォン。
「ほら、行って。」
「ファイト!」
泣いちゃダメ。二人の分まで、頑張らなくちゃ。私はもう、一人じゃナイ。支えてくれる友達がいる。応援してくれる、友達がいる。
「いってきます。」
ニコッ。
私、ちゃんと笑えてるかな? ぎこちなくて、ごめんね。でも、いつかきっと。ううん。今は違うな。
「ヨシ、行こう。」
「応援、ヨロシク。」
恵さん、令子さん。カッコイイ!
隠り世、町奉行発行『妖怪免許証』取得二次試験、実技。校庭にてスタート。
試験内容は、負荷時妖力調整および実証実験。
仮説の立証と検証実験を三回行い、学術論文を作成。複数の有識者による質疑応答を経て、認められれば、妖怪免許が与えられる。
制限時間、三時間。
隔離された校庭には、強力な妖気が充満。そんな環境で、暴走しないように制御しながら、高度な実験を繰り返す。
・・・・・・難易度、エベレスト級。
時間、足りないよぉぉ。だめ駄目ダメ。シッカリしなさい、美空奏音。思い出すの。養成所で学んだ、全てを。
たった十六年、されど十六年。これまで培った、経験と知識を活かす時。虐待サバイバーの底力、見せてヤル!
「マリンちゃん。」
「なぁに、キララちゃん。」
「なんか、スゴイね。」
「うん。」
国語と社会の資料集に、技術と家庭科の教科書を上下巻。全部、重ねても足りない。そんな量の、息するのも忘れるような、難しい問題をサラサラと。
昼休み挟んだけど、午後から実技試験。
しかも、何コレ。養成所の校舎からでも判る。とんでもレベルの妖気だよ。あの中に入ったら、間違いなく悪霊化するね。