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3-8 初めての贈り物


ここに居る人、みんなイロイロあったんだ。私は学校。ううん、クラスの中で特殊だった。それだけ。


他にも居るよ、ヤングケアラーだっけ? 似たようなモンでしょ。



私は家事を、一手に引き受けていた。仕事人間の両親に、家事する時間は無い。双子は親の真似をして、私を見下し馬鹿にした。




仕事と家事の両立は出来ても、育児まで手が回らない。そう言って始まった、祖母との同居。家事も育児も、姑に丸投げ。外でバリバリ働いて、休日はデート。


仲良し夫婦って、素敵だと思う。けどホッタラカシって、どうよ。私を言葉で虐待して、双子は猫可愛がり。腰痛持ちの年寄りを酷使して、優雅な暮らしを満喫。




そういえば、アッサリしてたなぁ。通夜なし、パッと告別式で終わり。医学研究の役に立ててほしいって、おばあちゃん。医学部への献体手続き、シッカリしてたから。


私の葬式を出さなかったの、献体を断られたからだと思う。交通事故で即死。損傷、激しかったんだろうなぁ。覚えてナイけど。






「カノンちゃん。泣いて、いいんだよ。」


ありがとう、令子さん。


「涙はね、心の御清め。ジャンジャン泣こう。」


そうなんだ、初めて聞いたよ。恵さん、ありがとう。


「まな板だけど、私の胸に飛び込んで。」


マリンちゃん。女は胸じゃなく、心だよ。おばあちゃんが言ってた。


「涙の数だけ、強くなれるよ。」


昔の曲だよね、歌番組で流れてた。えっ、キララちゃんの十八番おはこなの?



ワイワイおしゃべり、楽しいな。


「みんな揃って、妖怪になろう。就職先は違っても、休みの日に集まるの。年に一度でも、集まろうよ。」


「イイね。頑張るぞ! 私、筆記はダメ。けど実技試験は、イケるような気がする。」


胸の前で拳を握る、キララちゃん。



「名は体を表すって、本当だね。」


「えっ、恵さん。なぁに、いきなりぃ。」


「輝くって漢字一文字で、『きらら』でしょ。」


「そぉだけど・・・・・・。」


「輝いてるよ、キララちゃん!」



「うん、輝いてる。」


マリンちゃん。


「初めは驚いたけど、良い名前よね。」


令子さん。


「キラキラ輝く女の子にって思いが、感じられます。」


奏音かのん、力説。


「何か嬉しい。みんな、ありがとう。」



名前は親から子への、初めての贈り物。それから名前の由来を、教えっこした。






マリンちゃんの御両親は、マリンスノーの研究者。初デートで言ったんだって。『女の子が生まれたら、マリンと名付けよう』って。


キャ~ッ。素敵! 初デートでプロポーズ。マリンちゃんのお父さん、情熱的ね。



令子さんは旧家の生まれ。先祖代々、女の子が生まれたら、祖母の名を継がせるんだって。


因みに、御婆様はヨシコさん。着物でも洋服でもパリッと着こなす、オシャレさん。令子さんも私と同じ、おばあちゃんっ子。



恵さんの御両親は、幼馴染。岐阜県出身。進学で離れたけど、就職先で再会してゴールイン。


恵那峡のように強く美しく、感情豊かな子に育ってほしい。そう願って一字、貰ったんだって。



私の名前は、専門家に依頼して。カワイイと思うよ。ありがとう、姓名判断の人。


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