3-3 拒否、します?
光陰矢の如し。やってきました、学年末テスト。『葬式ごっこ』とか『葬式ごっこ』とか有ったけど、学年首席の座は、譲らないヨ!
・・・・・・あれ? 私のが無い。
先生、酷いよ。受験させてよ。私、ずっと耐えたのに。
「では、始めっ。」
・・・・・・先生?
「だから言っただろう。」
また来たの、ストーカー。
「失礼な。聞け、美空奏音。オマエは死んだ。」
えっ?
ストーカー。確か、向水無慙だっけ。
何なの、家の前に張り付いて。学校まで付いてきて。警察に通報するわよ。葬式ごっこはね、教師と学生だけで十分。
私が死んだ?
死んだなら、なぜ家事が出来るのよ。家族は毎日、私が作った料理を食べて、私が洗った服を着て、私が掃除した家で暮らしている。
オカシイじゃない。死んでるなら、なぜ家事が出来るのよ。死んでるなら、なぜ物が持てるのよ。包丁が持てる、家電だって使える。
「美空奏音、享年十六。交通事故により、即死。」
交通、事故?
「信号無視で交差点に突っ込んだ、自転車宅配便に撥ねられた。打ち所が悪くてな。」
・・・・・・そうだ、学校帰り。
信号が青になって、渡った。横からドンって。それで、それから、あれっ。私あの時、死んだんだ。打ち所、即死って事は。
頭蓋骨陥没骨折で、ポックリ?
「死んだ事に気付かず、家に囚われた。家事が出来たのは死を受け入れず、家族がソレを受け入れたから。」
死んでも私を家政婦にって、望んだから?
「・・・・・・まぁ、そうなる。」
ゲッ。って事は、私の葬式って。
「出されて無い。」
救急車に乗せられて、警察病院に運ばれた。遺体の受け取りを拒否されて、暫く放置。あの電話、警察からだったんだ。
父さん、スゴイね。娘の遺体、受け取り拒否ですか。何度も説得されて荼毘に付されるも、骨を拾わず帰宅。火葬場の職員により、骨壺にイン。
遺骨の受け取りまで拒否され、火葬場近くの寺に預けられた。そのまま放置。法要ナシ。化けて出ても、良いよね。
「成績が出て、直ぐだ。」
そうね。
「やっと気付いた。」
そうですね。
「まだ悪霊では無いが、そろそろ。」
危ないのね。
「今なら、何とか。」
間に合いますか? ・・・・・・何とか言ってって、あれぇぇ? ドコ行った!
「と、相成った。・・・・・・課長?」
ここは隠り世、代官所。頭を抱える更正課長、白銀。
「向水クン。地獄へ、引き渡すよ。」
「ハイッ。」
「君をね。」
「・・・・・・。エッ?」