3-20 生まれ変わっても
「速達です。」
郵便屋さんが届けてくれた。送り主は・・・・・・。
生まれて初めて、友達から手紙をもらった。それも二通。ドキドキとワクワクが、止まらない。
二人にも知らせたんだ。令子さん、恵さん、私もね。公務員試験に、合格したよって。
美空奏音さま
お元気ですか?私は元気です。
カノンちゃん。公務員試験、合格おめでとう! とっても、とっても嬉しい。
私ね、転生が決まったよ。生まれ変わったら全部、忘れちゃうんだって。そりゃ、そうだ。('◇')ゞ
でも一つだけ、選べるの。生まれる季節、生まれる時期、生まれる時間。
生まれる季節を選んだよ。春!
カノンちゃん、覚えてる? 誕生日の話。ニッコリ笑って、言ったんだ。
「四月四日は、幸せの日。四と四を合わせて、しあわせ」って。
スゴイな、偉いなって思った。
私の誕生日、四月九日。死と苦だよ。親が酔うと、必ず言った。「アンタは死んで、苦しむ」って。
ずっと嫌だった。苦しみながら死んだし、当たってんジャンって。言霊、あるんだって。
でも、違った。楽しかった。カノンちゃん、マリンちゃん。令子さん、恵さん。みんなに会えた。
吹っ飛んだよ。みんなニコニコ笑って、言ってくれたもん。
「四駆の日なんて、カッコイイ。」
「子宮の日なんて、ロマンティック。」
「フォークソングの日に生まれたから、歌が上手いんだね。」
「漆喰の日。左官の日だったかな? さすが仲立ちの達人!」
嬉しかった。コミュ障だから、ギャルしてた。見た目で損してるって分かっても、止められなかった。
仲立ちの達人は、カノンちゃんだよ。みんな初めはビックリするのに、カノンちゃんは変わんなかったもん。
人も亡者も妖怪も、イロイロいるよ。でも大丈夫。代官所でも奉行所でも、何処でも輝ける。
きっとカノンちゃんにしか救えない魂、いっぱい居るよ。私を救ったように、救ってね。
大好き。生まれ変わっても、友達だよ。 山田 輝




