3-19 兎と亀
妖怪免許証を取得した、養成所同期生。五妖とも、受験認定資格を取得。現世で言えば、高認みたいなモノ。これが無ければ、進学も就職も出来ない。
次に受けたのは、公務員予備試験。これも皆、合格。隠り世の公務員は、学問所。現世で言えば大卒しか、公務員試験を受けられない。
学び処しか出てない妖怪でも、チャンスを。ということで設けられたのが、予備試験。合格すると、学問所卒業と同等の学力を有すると、認められる。
司法試験の一次と、似たようなモノかな?
続いて受けたのが最難関、公務員採用試験! 結果、合格したのは恵さん、令子さん、私の三妖。残念ズは、残念でした。
「認めない。オイJK、どんな手を使った。」
モブいち、煩い。
「JKだからって、何だ。」
フラモブ、鬱陶しい。
二妖とも、女子高生に恨みでも? 派手にフラれた? 奏音には関係ないから、チョッカイ出さないで。意地悪するなら、出番は・・・・・・。
「隠り世はね、実力社会なの。」
笑顔ブリザードに、ご注意ください。
「正当に評価された。ただ、それだけ。」
笑顔ブリザード警報が、発令されました。
ヴュオォッと猛烈な吹雪に見舞われ、ギャラリー真っ青。
免許持ちの同期生の多くは、現世の大卒。中卒。正確には高校中退は、奏音一人だけ。養成所に入ってから今まで、真面目にコツコツ努力した。
難しい問題は五分考え、答えを見る。それから再挑戦。解けたら次の問題へ。解けなければ参考書を読み込み、再挑戦。それでも解けなければ、教えてもらう。
時間はかかるが、確実に伸びる。
奏音は自学自習型。通塾経験が無い。予習をしてから、学校の授業をシッカリ受ける。帰ったら復習して、次の予習をする。その繰り返し。
成績は常に、学年首席。通信簿の特記事項には、『社交性なし』とか『コミュニケーション能力に問題あり』とか、デカデカと書かれていた。
社交性、あります。
井戸端会議に出席。地域社会に溶け込み、各種行事にも参加。コミュニケーション能力、高いよ。気難しい人や、不愛想な人。いけ好かない相手とも、必要なら話せます。
整った顔をしているので、冷たい印象を与えてしまう。加えて笑えない、笑い方を忘れてしまった。
食いしばり癖が有るからか、目力が強い。虐待児に多いらしい。
残念ズは要領が良く、高得点を取るのが上手い。生まれつき、頭の働きが良いダケ。『テストなんて〇×ゲームだろ?』なんて嘯く、嫌なヤツ。兎タイプだね。
奏音は、亀タイプ。決して怠けず、少しづつ前進。危険を感じればヒュッと閉じこもり、遣り過ごす。安全を確認できたら、再び前進。
「彼女、努力家だと思う。」
「良く勉強してた。」
「合格、おめでとう!」
何時でも何処でも、誰かが見ている。ちゃんとネ。




