3-17 残念ズ
「待てよ。」
肩を掴もうとした。
「やめてください。迷惑です。」
奏音。キッと睨んで、切り捨てる。
「シツコイ男は、嫌われるよ。」
恵さん、ズバッ。
「気になる子に意地悪? ソレ、逆効果。」
令子さん、バッサリ。
「興味ねぇよ。」
「調子乗んな、ブス。」
カッコ仮だったのに、『残念ズ』に決定しました。
残念ズは、女性に縁が無かった。学校でも勤務先でも、全くモテなかった。加えて、万年思春期。嗜む程度に、拗らせている。
年上にも同年代にも相手にされず、大人しそうな年下を狙って、嫌がらせを繰り返す。結果、彼女いない歴イコール年齢。
「羽虫が飛んでるわ。」
お姉さま!
「さぁ、行きましょう。」
笑顔。でも背景は、ブリザード。
ス・テ・キ。私、感動しました! アシライを会得したいので、ご指導ください。よろしくお願いします。
「三十年も掛かって、経済成長率 3% とは。」
「労働者が怠惰なワケで無く、自国民が大半を占めている。それで、このザマ。」
「所得は増えないのに、物価と税金は上がる。」
「政策の失敗。」
「無能が国を滅ぼす。」
辛口コメント大会、開催中。
「少子高齢化による、国力低下?」
「四十年以上前から、分かっていた事。」
「絶望する氷河期世代。」
「しかも多くが、第二次ベビーブーマー。」
「過酷な競争を強いられ、巣立つ頃には就職難。」
「自己責任論を押し付けられ、擦り減るメンタル。」
「非正規率が高く、結婚も出来ない。」
「政治災害として、語り継がれるだろう。」
激辛コメント大会、絶賛開催中。
人口は減っているのに、自殺者数は減らない。つまり、増えている。
経済は下降、犯罪率は上昇。地獄裁判の長期化に伴い、仕事量アップ。地獄は獄卒不足で、常に求鬼広告が出ている。
真っ黒なのでは? なんて、疑惑まで。・・・・・・真っ白なのに。
役所はドコも、似たようなモノ。とはいえ、激務で知られる代官所。中でも営業部は、高い離職率を誇ります。 ← 誇るな。
勤務時間など、他の待遇は同じ。ただ、高給なんです。休日出勤、残業なし。それでもガッポリ、稼げます。
生と死の、間に入り込んだ魂を扱う。悪霊化する前に救う。幽霊を転生へ導き、手助けする。そりゃ、激務だよネ。
生者には見えないが、確かに存在する。それが隠。妖怪も化け物も、みんな、みんな生きている。
モヤモヤしていても、トゲトゲしていても、どんな姿でも、亡者は生きている。命が尽きただけで、生きている。
亡者と隠。違いはあっても、同じ生き物なんだ。




