3-14 ハッ、ははぁ
「いやぁ。豊作、豊作。」
「良い風、吹いてマスねぇ。」
ご隠居と長老、ホクホク顔。
「合格者が五人も出るとは。」
恵推し、屋久。
「当たり年ですね。」
令子推し、大倉。
「何年ぶりでしょうか。」
奏音推し、江洲波。
妖怪の仮免許を発行した時から、感じていました。今年は、何かが違うと。
優秀な亡者は、大歓迎です!
「ちょっと多過ぎゃ、しませんか?」
「男二、女三って。」
隠り世にも、悪い意味で古風な妖怪が・・・・・・。
「学問所の水準向上に、尽力すべきでは。」
「イヤその前に、男女比の見直しを。」
言ってるコトは、正しい。
「生まれながらの妖怪が増えているのに、亡者を妖怪になど。」
「妖怪養成所に使う予算を、妖怪のために。」
ここにも居ました。妖怪至上主義者が。
「優秀な亡者が、妖怪になるのです。」
「隠り世に、欠かせない存在ですよ。」
「生まれは違っても、妖怪は妖怪。」
元、亡者たち。問題発言に、抗議の声を上げる。
「妖怪化しても、ねぇ。」
うっわぁ、感じ悪ぅ。
妖怪は長寿。健康寿命も長い。隠り世の食料自給率、300% 安全な水へのアクセス、100% を支えているのは、熟練の技を持つ職妖たち。
衣食住をはじめ科学・技術・学問・芸術・道徳など、生活形成の様式と内容を含む全てが、滞りなく継承されている。
隠り世、万歳!
日本は島国。当たり前ですが、隠り世にも国防軍が存在します。その名を、隠剛。中枢は隠、指揮官も隠、部隊長も隠。他は妖怪、鬼率高め。
うん、強い。そりゃ強い。オニツヨだよ。強いダケじゃ無い。なな、なんと! 日本隠り世はアンリエヌと、同盟を結んでる。
はじまりの隠神に化け王。神話に出てくるような? 伝説級の大物。お会いした事ないケド、お会い出来ないケド、頼もしい。
オニさん、見てるよ。隠れて、ちゃんと見てるよ。
「合格者が五人、出たそうだな。」
はじまりの隠神、御出座し。
「ハッ、ははぁ。」
揃って、サッと平伏す。
「元は人でも、同じ妖怪。実力を発揮できるよう、配慮を忘れぬように。」
古狸、じゃナイ。古田貫、主任研究員。隠り世町奉行、妖怪免許課を代表して、一言。
「仰せのままに。」
隠でも妖怪でも、隠り世の皆が知っている。何てったって、学び処で教わりますから。『昔むかしの大昔。蛇神様にも、愛し子が』と。
学び処は、義務教育。能力が認められれば、学問所へ進学します。つまり、そういうコト。
・・・・・・大丈夫? 顔色、悪いよ。




