3-13 疲れた時には、甘味が一番
出来る限りの事をした。後悔は無い。質疑応答で緊張しすぎて、舌噛んだ。それくらいかな、失敗したの。
「悪夢だぁぁ。」
「恵さん?」
「カノンちゃん。お姉さんを抱きしめて。」
・・・・・・えっ。
「悪夢だぁぁ。」
「令子さんも?」
「恵さんも?」
無言でハグする二人。奏音、ポッカァン。
令子さんは経済学、恵さんは薬学の博士号持ち。二人とも学生時代を思い出して、落ち込んだんだって。学位を取るって、大変なんだ。
学術論文なんて初めて書いたけど、私のはダメ駄目だね。頑張って書いたけど、我ながら良く書けたと思うけど、自信ナイよ。
マリンちゃんとキララちゃんは、特別研修中。
免許証が取れなくても、特別裁判は受けられる。妖怪養成所に入れるのは、情状酌量が認められた亡者だけ。転生が認められる可能性が、極めて高い。
みんな良い人だもん。納得だよ。
・・・・・・私は、弱い。流されて生きていた。認めてほしくて、居場所がほしくて、愛されたくて、それで。
「カノンちゃん?」
ごめんね。ビックリしたよね。
「休憩室で、お茶しよっ。」
疲れた時には、甘味が一番!
へぇ。令子さん、銀行に勤めてたんだ。親族が経営する会社を立て直すために、拝み倒されて転職。経営状態を見極めようと、経理課へ。
「着任早々、見つけちゃったの。横領の証拠。」
「そんなに直ぐ、見つかるモノなの?」
「まっさかぁ~。」
横領してた人。先代からの古株で長年、金庫番を勤めていた。令子さんが入社すると知って、慌てて偽装したけど、間に合わなかった。
「言われたわ。『幹部候補なんだから、営業とか社長補佐とかヤレよ』って。」
「うわぁ。」
「経済学部出身の、元銀行員よ。真っ先に帳簿、調べるって。」
「そうよね。あっ、もしかして。」
「そう。政略結婚の駒にって、思われてたみたい。」
「お嬢様ぁぁ。」
恵さん、聞き上手だなぁ。ドンドン引き出してる。それに、フフッ。コントみたい。
カラァン、コロォン。カラァン、コロォン。
「そろそろ、結果発表かな?」
「行きますか。」
「ハイッ。」
結果は・・・・・・。やったぁ、みんな合格。
「カノンちゃん、恵さん、令子さん。おめでとう!」
五人でキャッキャ、大喜び。




