表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/33

3-1 私は女優

祝~hafuri~ 連載一周年記念。


 家事を一手に担う虐待児、美空奏音。耐えて、耐えて、耐えて、笑い方を忘れた。家でも学校でも虐められ、どこにも居場所がない。


 交通事故に巻き込まれ、即死するも気付かず、家に囚われた。担当は若君、向水無慙。ノンビリしすぎて、時間切れ。悪霊へのカウントダウンが!


 無事救い出され、妖怪養成所へ。素敵な友達、できました。みんな揃って、妖怪になろう。果して、難関突破なるか。奏音の運命や如何に。


「寒っ。」


朝。誰よりも早く起きて、家事をする。他の子は手伝い程度。ウチは私が、家族の世話をする。


両親とも仕事人間、弟妹は二卵性の双子。兄は私が一歳の時、死んだ。母は言った。『オマエが殺した』と。



オカシイと気が付いたのは、小学校に入ってから。


ウチの洗濯機、二層式だから手が荒れる。ハンドクリームなんて高級品、使わせてもらえない。



私が家事をするのは、当たり前。私が虐待されている事、気付いていて何もしない。見下し、嘲笑うダケ。



罵られても、黙って耐える。殴られても、黙って耐える。叩きつけられても、黙って耐える。蹴られても、黙って耐える。


耐えて、耐えて、耐えて。笑い方を忘れた。



家族は言う。『愛想の無い子で』『鈍感な子で』と。言われた人は笑う。『そうなんですか』『手が掛からなくて、イイじゃない』と。






「何コレ、まっず。」


妹は特に、性格が悪い。


「もう少し何とか、ならんのか。」


新聞を読みながら、父が言う。


「向上心が無いのよ。」


文句を言いながら、バクバク食らう母。


「アレに関わるな、うつる。」


鼻で笑う弟。



三度の食事と、弁当の中身は別。一つでもカブると文句を言われる。奴らにすれば、文句もオカズの一つ。気にしない。


・・・・・・嫌だけど、気にしない。




「いってきまぁす。」


一人、また一人。バタバタと出てゆく。食卓の上は、散らかったまま。ココは舞台、私は女優。アンドロイド家政婦を演じるの。






教師は敵だ。私を生贄にして、クラスを運営する。私を虐げて、笑いを取る。私を貶めて、クラスを纏める。辛くても、逃げ場が無い。



学校なんて嫌い。行きたくない。


義務教育が終わったら、就職する気だった。なのに進学した。世間体を気にする親が、睨みながら言った。『高校くらい出ろ』と。



ミテクレは悪くないので、舞妓になろうと思った。


置屋に連絡をして、直談判。履歴書を送る許しを得て、郵送。面接をパスしたのに、親に潰された。


女将さんに言われた。


『どうしても耐えられなくなったら、いらっしゃい。』そう言って、抱きしめてくれた。嬉しかった。居場所を、見つけたような気がした。






「プッ、また来た。」


「懲りないヤツゥ。」



クラスメイトが囀る。


ピィチク、パァチクとまぁ、飽きもせず。ご丁寧にチョークで座面を塗り潰し、こちらを見ている。



突っ込まれたゴミ、悪口を書いた紙など。入れられたモノを出すため、机を振る。


毎度毎度、ご苦労なコッテ。掃除用の挟みで摘まんで、物証を袋に入れる。帰ったら広げて、今日の新聞と共に保存。




黙って雑巾を手に、洗い場へ。ついでだ、掃除しよう。


机を拭いてから、椅子を拭く。うん、キレイきれい。再び洗い場へ。雑巾を洗い、絞って干す。




虐めに第三者は居ない。居るのは、被害者と加害者。傍観者は加害者、質の悪い加害者。家でも学校でも虐められ、四面楚歌。


あれ、私。何で生きてるの?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ