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エストカダ

作者: 岸亜里沙

正闘牛士(マタドール)のホセ・アルバトスは、セビリアの由緒ある闘牛場「マエストランサ」で牡牛のラヴィーゴと対峙していました。


ホセは華麗なフォームと端整なルックスで、スペイン国内で注目を集めている人気の若手闘牛士。

近年の闘牛の衰退をホセは嘆き、SNSを通じて、積極的に闘牛の必要性を国内外に発信していたのです。


「闘牛はスペインの国技であり、古くからの伝統がある芸術なのです。これを絶やしてはいけません。闘牛を批判する動物愛護団体の方々、あなた方はステーキを食べないのですか?ヴィーガンであるなら文句はありません。ですがもし牛や豚、鶏の肉を口にするのであれば、それは矛盾してはいませんか?動物を殺し、加工し、食べているのですから。極端な話し、闘牛はその工程を可視化しているにすぎません。私たち闘牛士は、牛に対するリスペクトを捨てた事はありません。私たちは命懸けで牛と向き合っているだけなのです。無意味に批判する方々は、動物の命を奪い、自分の命を繋いでいるという現実から目を背けたいだけなのではないでしょうか」


ホセは正闘牛士(マタドール)としてのプライドを胸に、この日も闘牛に挑んでいました。

数々の技を披露し、観客を熱狂させ、止めの一撃(エストカダ)へと進んでいきます。


ですがその瞬間、ホセの視界からは急にラヴィーゴの姿が消え、鮮やかな夕空が目に飛び込んできたはずです。

ホセはラヴィーゴの角で空中に舞い上げられ、地面に叩きつけられました。

観客の悲鳴がシュプレヒコールのようにアリーナにこだまする中、急いで仲間たちが駆け寄り、猛り狂うラヴィーゴをホセから引き離したのですが、その時にはもう既に手遅れでした。

ホセは角で心臓を一突きされていたのです。




生前、ホセはよくこう語っていました。


「自分の生き方と職業に胸をはる」と。



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